「教員免許更新制」の廃止が決まる
8月23日、中央教育審議会の「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会に設置されている教員免許更新制小委員会の第5回会議が開催されました。
「NHK NEWSWEB」は、次のように伝えています。
「教員免許更新制」現在の制度廃止のまとめ案示す 中教審
2021年8月23日 19時49分10年ごとに教員免許の更新が必要な「教員免許更新制」について、中教審=中央教育審議会の小委員会は23日、教員の負担などが課題となる中「発展的解消が適当」だとして、現在の制度を廃止するまとめ案を示しました。これを受け萩生田文部科学大臣は、来年の通常国会で法改正を目指す考えを示しました。
「教員免許更新制」は、小中学校や高校などの教員免許の有効期間を10年とし、講習を受けさせたうえで免許を更新する制度で、教員の資質能力の保証を目的に、第一次安倍政権のもとで法改正され、2009年度から導入されました。
この制度では、30時間以上の講習が必要で教員への負担などが課題となり、見直しを議論してきた中教審=中央教育審議会の小委員会が23日、まとめ案を示しました。
この中では、制度は一定の成果をあげてきたとしつつ、最新の知識技能の修得といった教員の資質能力の確保や、教員や管理職などの負担軽減、それに人材確保を妨げないことを合わせて実現することは困難だと指摘しています。
そして、大きく変化する時代に主体的に学び続ける教員が求められる中で、教員免許更新制は阻害要因になると考えざるをえないとしたうえで「発展的な解消の検討が適当」だとして現在の制度を廃止するよう求めました。
同時に資質能力の向上を担保するため、教員の研修受講履歴の管理や、必要な知識や技能の学習コンテンツの開発などに取り組むことが適当だとしています。
現時点で明らかになっていることを整理します。
1 現行の「教員免許更新制」は廃止されます。
朝日新聞は、「『廃止は大臣の強い意向だった』。複数の中教審委員は取材に打ち明けた。」と書いています。
会議を受けて萩生田文部科学大臣は、「文部科学省として必要な体制を整備した上で、現職研修の充実や教員免許更新制の発展的解消に向けた具体的な検討、調整にあらかじめ着手しておくよう事務方に指示をいたしました」とコメントしました。
朝日新聞の記事は、「廃止」が「発展的解消」になった事情に触れています。
とはいえ、更新制は「問題教員の排除」を目的に自民党が3年ごろから検討を続け、第1次安倍政権が導入を決めた肝いり政策。安倍氏に近い萩生田氏は自らが口火を切ることはせず、中教審に早期に結論を出すよう求めた。
この日の審議まとめでは「廃止」ではなく、「発展的解消」という表現になった。文科省や大臣経験者らには、文教族の自民党議員から「安倍政権の教育改革の目玉の一つが、大学入試改革に続いて『また失敗』したと言われる」などと働きかけがあったという。
こうした政治の駆け引きを取り除けば、「教員免許更新制」は廃止決定ということです。
2 廃止は2023年度から。それまでは免許更新が必要。
新聞記事によると、「文科省は来年の通常国会で廃止に必要な法改正をし、23年度にも新たな研修制度を始める。それまでに期限を迎える免許は更新の必要がある。」ということです。
3 研修の拡充や研修履歴の記録管理の義務化を検討
「発展的解消」の中身が、研修の拡充であり、研修履歴の記録管理の義務化ということになります。計画では、23年度から何らかの新制度が始まります。
※今回はニュース記事のみとします。検証記事は日を改めて書く予定です。