教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

退職後を生きる(その14) 野あそび(ウォーキング)

野あそび(ウォーキング)

 

幼いころ、自宅から見える山の向こうは異界だと思っていました。

長じるにつれ世界が広がり、山の向こうにも同じような人社会があることを知りました。

山のこちら側の人社会と向こう側の人社会は、車が通る迂回道路でつながっていることも知りました。

 

車道(くるまみち)ができる以前は、山を越えて人が行き来していたはずです。

山の向こうへの思いは幼少時から連綿と続き、そのまま還暦を迎えました。

 

 

退職後、新たな習慣になったことの1つに、ウォーキングがあります。

私の場合、それは「探検ウォーク」「健康ウォーク」「登山ウォーク」の3つに分けることができます。

 

「探検ウォーク」

私にとっての「探検ウォーク」は、ふるさとの山を歩くことであり、山向こうの人社会まで足を運ぶことです。

 

地形図上にGPSで現在地を表示できるアプリがあります。

有名な山であれば登山のガイドブックを作っている会社などが運営するサイトがありますが、名もなき里山までカバーするサイトは滅多にありません。

やっと見つけ出したのが、「FieldAccess」という有料のiPhoneアプリです。国土地理院のデジタル地図にGPSで現在地を表示できるアプリで、ずいぶん重宝しました。しばらく前にこのサイトが閉鎖されました。現在は、「スーパー地形」というアプリを使っています。こちらは国土地理院の平面地図に加えて立体地図も無料で使えます。

 

国土地理院の地形図には、かつての杣道や里道(りどう)がかなり詳細に描かれています。それとGPS情報を手がかりにすれば、廃道となっている山の中でも歩けるのです。結構ワクワク感のあるウォーキングです。

 

山を越えて山向こうの人社会に至ること3方面。

まるで少年です。

 

「健康ウォーク」

1日のウォーキングの目標として、1万歩とか8千歩とかいう数字をよく目にします。

いまどきはスマホに万歩計機能が付いているので、わざわざ歩数計を持たずとも記録をデータとして残してくれます。(そう言えば歩数計のことを「万歩計」と言いましたね。これは山佐時計計器株式会社 (YAMASA) の登録商標なんだそうです。)

 

私も最初は8千歩を目標数値に設定していました。

過去形にしているのは、今はそうでないからです。理由は、挫折です。

 

私の平均的なウォーキング速度は、10分間に1000歩です。したがって、80分間歩き続ければ8千歩です。それ自体は特に困難なことではありません。

しかし、歩けない日もあります。雨のため、暑さのため、雪のため、寒さのため、他の用事のため、お出かけのため……。なんとなくそんな気分にならないためという日だってあります。

未達成の記録が続くと、気分が失せます。

気分が失せると、足が遠のきます。

何のためのウォーキングでしょう。

 

2年前から、私の1日のウォーキング目標は4千歩にしています。

正確に言うと、1日に4千歩、1カ月で12万歩、1年間で144万歩という目標設定です。楽しみながら続けること、1カ月・1年間という長いスパンで取り組むことをだいじにした設定です。

2年前、あるアプリと出あったことがきっかけでした。

歩数計」というアプリです。iPhoneの「ヘルスケア」にも歩数計機能はあります。「歩数計」では歩数に加えて、設定値に対する達成率をグラフ表示で見ることができます。さらに、カレンダーでその月の日別状況が確認できる上に、月間の累計歩数が表示されます。私のプランには願ったり叶ったりのアプリです。

 

ウォーキングの基本コースは、平坦な「川コース」と負荷のかかる「山コース」の2本あって、いずれも7~8千歩です。各基本コースには、おおむね3千歩、4千歩、6千歩の複数のバリエーションコースを設けていて、そこをテキトーに歩いています。

当初目標の半分でしかありませんが、この数字は私の暮らしぶりには合っているようです。歩数ゼロの日も、月間目標未達成の月もありますが、2年とも年間歩数は150万歩超でした。

 

「登山ウォーク」

山小屋泊の本格的な登山を始めたのは50歳ですから、ずいぶん遅い山デビューです。

北アルプスの風景が好きで、子どもが小さかったころは毎年のように山すそでキャンプをしていました。山すそのハイキングでは分からなかった山名も、今ではたいてい同定できます。

山上で見るモルゲンロート、アーベントロートは、至高のひとときです。

とは言え、3000mの頂をめざすのは無雪期限定。

雪山のシーズンは、スノーシューで山ふところに分け入って楽しんでいます。

私にとっての登山は、日常のウォーキングの延長といった塩梅でしょうか。

 

 

里の道を歩いていると、ウグイスの啼き声を耳にするきょうこのごろです。