スパイラルに育てる読みの力
学習指導要領を見ると、算数などは学年ごとに目標や内容が設定されているのに対して、国語は〔第1学年及び第2学年〕〔第3学年及び第4学年〕〔第5学年及び第6学年〕というくくりになっています。
「筋道立てて考える力」という目標は、第5学年及び第6学年の2年間で育てる力です。
2年間で指導する内容は次のとおりです。
2 内 容
〔知識及び技能〕
⑴ 言葉の特徴や使い方に関する次の事項を身に付けることができるよう指
導する。
カ 文の中での語句の係り方や語順,文と文との接続の関係,話や文章の
構成や展開,話や文章の種類とその特徴について理解すること。〔思考力,判断力,表現力等〕
C 読むこと
⑴ 読むことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 事実と感想,意見などとの関係を叙述を基に押さえ,文章全体の構成
を捉えて要旨を把握すること。
ウ 目的に応じて,文章と図表などを結び付けるなどして必要な情報を見
付けたり,論の進め方について考えたりすること。
指導事項を拾い出します。
・文の中での語句の係り方や語順
・文と文との接続の関係
・話や文章の構成や展開
・話や文章の種類とその特徴
・事実と感想,意見などとの関係を叙述を基に押さえ
・文章全体の構成を捉えて要旨を把握する
・目的に応じて,文章と図表などを結び付けるなどして必要な情報を見付けたり,論の進め方について考えたりする
光村図書の教科書を例にします。
説明的な文章は、年に3回扱います。
〈5・6月〉基礎を押さえる
〈10・11月〉構成や表現の工夫をとらえる(「書くこと」との複合単元)
〈1・2月〉感想や考えを伝え合う(多様な文種・活動)
つまり、5年〈5・6月〉【基礎】→〈10・11月〉【応用】→〈1・2月〉【定着】→6年〈5・6月〉【基礎】→〈10・11月〉【応用】→〈1・2月〉【定着】と、6回の指導を通して目標に近づいていくことになります。
たとえば「要旨」は5年〈5・6月〉【基礎】の重点指導事項になっていますが、指導はそこで終わるわけではありません。その後の単元でもくり返し指導することになります。また、「要旨」の学習には3・4年生で学んだ「要点」や「要約」などの既習の力も必要です。既習の内容であっても、定着が不十分ならば再度指導することになります。
こうした学びを螺旋状(スパイラル)に繰り返しつつ、論理的読解力を育てていくわけです。
光村図書の教材一覧は次のようになっています。
3年生以上の〈5・6月〉単元は2教材構成になっています。
私が教員になった40年以上前からそうだったのですが、今は1つ目の教材に「練習」と明記されていて、その意図が明確です。
この時期の単元にはその学年の重要な指導内容が含まれています。
3年生の「段落とその中心をとらえて読み、…」は、「段落」「問い」を指導する単元です。まず練習教材で「段落の見つけ方」「問いの見つけ方」をきちんと指導します。そして、それに続く本教材では、理解したことを活かして自力解決ができる、つまり子どもが自力で「段落を見つけられる」「問いを見つけられる」ように導きます。