教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

説明文を読む(2)説明文で育てる力

説明文で育てる力

 

説明的な文章の授業を通して、子どもにどんな力を育てるのでしょうか。

 

それは、学習指導要領に示されています。

 

第2章 各教科 第1節 国語
第1 目標

言葉による見方・考え方を働かせ,言語活動を通して,国語で正確に理解し適
切に表現する資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
⑴ 日常生活に必要な国語について,その特質を理解し適切に使うことができ
るようにする。
⑵ 日常生活における人との関わりの中で伝え合う力を高め,思考力や想像力
を養う。
⑶ 言葉がもつよさを認識するとともに,言語感覚を養い,国語の大切さを自
覚し,国語を尊重してその能力の向上を図る態度を養う。

 

説明的な文章の読みに関して言えば、

国語で正確に理解する資質・能力を育成」する授業を行い、その過程において「思考力や想像力」「言語感覚を養

ということになるでしょうか。

 

具体的内容は、「第2 各学年の目標及び内容」にあります。

〔第5学年及び第6学年〕

1 目 標
⑴ 日常生活に必要な国語の知識や技能を身に付けるとともに,我が国の言
語文化に親しんだり理解したりすることができるようにする。
⑵ 筋道立てて考える力や豊かに感じたり想像したりする力を養い,日常生
活における人との関わりの中で伝え合う力を高め,自分の思いや考えを広
げることができるようにする。
⑶ 言葉がもつよさを認識するとともに,進んで読書をし,国語の大切さを
自覚して,思いや考えを伝え合おうとする態度を養う。 

 

日常生活に必要な国語の知識や技能を身に付け,筋道立てて考える力」というのが、小学校卒業時の子どもたちに付けておきたい説明文の読みの力です。

 

筋道立てて考える力」を身につけさせるという目標を達成するために、どんな内容の授業を行うかというと、

2 内 容
〔知識及び技能〕
⑴ 言葉の特徴や使い方に関する次の事項を身に付けることができるよう指
導する。
カ 文の中での語句の係り方や語順,文と文との接続の関係,話や文章の
構成や展開,話や文章の種類とその特徴について理解すること

〔思考力,判断力,表現力等〕
C 読むこと
⑴ 読むことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 事実と感想,意見などとの関係を叙述を基に押さえ,文章全体の構成
を捉えて要旨を把握すること
ウ 目的に応じて,文章と図表などを結び付けるなどして必要な情報を見
付けたり,論の進め方について考えたりすること

 

すべての学年の担任の先生たちは、目の前の子どもたちの卒業時の姿を想像してください。

説明文の授業において、「事実と感想,意見などとの関係を叙述を基に押さえ,文章全体の構成を捉えて要旨を把握するとともに,目的に応じて,文章と図表などを結び付けるなどして必要な情報を見付けたり,論の進め方について考えたり」している姿です。

すべての学年の授業はここをゴールとして、現在地を位置づけてとらえることになります。

 

〔第1学年及び第2学年〕
1 目 標 
⑵ 順序立てて考える力や感じたり想像したりする力を養い,日常生活にお
ける人との関わりの中で伝え合う力を高め,自分の思いや考えをもつこと
ができるようにする。

2 内 容
〔知識及び技能〕
⑴ 言葉の特徴や使
カ 文の中における主語と述語との関係に気付くこと
〔思考力,判断力,表現力等〕
C 読むこと 国 語
⑴  読むことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 時間的な順序や事柄の順序などを考えながら,内容の大体を捉えるこ

ウ 文章の中の重要な語や文を考えて選び出すこと

 


〔第3学年及び第4学年〕
1 目 標
⑵ 筋道立てて考える力や豊かに感じたり想像したりする力を養い,日常生
活における人との関わりの中で伝え合う力を高め,自分の思いや考えをま
とめることができるようにする。

2 内 容
〔知識及び技能〕
⑴ 言葉の特徴や使い方に関する次の事項を身に付けることができるよう指
導する。
カ 主語と述語との関係,修飾と被修飾との関係,指示する語句と接続す
る語句の役割,段落の役割について理解すること
〔思考力,判断力,表現力等〕
C 読むこと
⑴ 読むことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 落相互の関係に着目しながら,考えとそれを支える理由や事例との
関係などについて,叙述を基に捉えること
ウ 目的を意識して,中心となる語や文を見付けて要約すること

 

学習指導要領の文章から指導事項を抜き出して一覧にしてものが、前回紹介した系統表です。1つ前の指導要領の時のものです。指導要領の体裁は大きく変わりましたが、指導事項に大きな変更はありません。

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国語科において、説明的文章の読みを通して育てる力とは以上の通りです。

しかし、そこで育てる力は、説明文の読みの力とか、国語の力とかいった範疇のものではありません。

「論理力」というのが、こんにちの「学力」の中心的な柱です。論理力とは、平たく言えば「筋道だてて物事を考え、表現する力」です。そうした論理的思考力や論理的表現力は、論理的文章(説明文)を読みとる授業のなかで鍛えられ、育っていく部分が大きいのです。

つまり、論理的読解力を育てる説明文の授業は、同時に論理力の体幹を育てる授業でもあるのです。