教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

説明文を読む(1)授業の基本

授業の基本

 

「授業の基本」の基本

「授業は『論理』が目標にならないといけない」

 

本稿の結論は、「授業は『論理』が目標にならないといけない」ということです。

 

2020年3月9日付の小文を掲載します。

■授業の基本■


「『教科書を教える』のではなく、『教科書で教える』のだ」とよく言われます。よく言われる割には、その意味するところが共通認識されているとは言い難いように思います。

 

たとえば、3年生の教室で「ありの行列」という教科書教材を使って初めて「要点」の指導をしている場面を考えてみましょう。

ある段落の中心文を見つけ、その段落の要点をまとめて1時間の授業を終えたとします。--この授業は「教科書を」教えた授業でしょうか、それとも「教科書で」教えた授業でしょうか。


判断の基準は、この時間の学びを使って子どもたちが自力で別の段落、別の教材の「要点」をまとめることができるかどうかにあります。

1時間の学びがその段落の「要点」止まりであるなら、それは「教科書(教材)を」教えたに過ぎません。

1時間の学びを生かして別段落の「要点」まとめができたなら、「教科書(教材)で」(教科書を通して)「要点のまとめ方」を教えたことになるのです。


つまり、「要点」がその時間の学習課題ならば、1時間の学びを通して「要点のまとめ方」がスキルとして子どもの中に残らなければならないのです。

 

教科書「を」と「で」の述べてきた「で」のような授業を、「論理」を目標にした授業といいます。具体的には別稿で述べますが、ここでは「授業は『論理』が目標にならないといけない」ということを確認しておきましょう。

全文のリンクはこちら。

yosh-k.hatenablog.com

 

説明文の授業の基本

説明文の授業の基本については、2020年11月30日付の小文を再掲します。ここで紹介している「説明文の教材研究の方法」が、この先登場してくる具体的な授業案づくりの指針になります。

「授業のユニバーサルデザイン化」②

 

今回は、「授業のユニバーサルデザイン化」をすすめるための具体的な手立てを紹介します。

 

教科は国語、領域は「説明文」です。

テキスト(参考文献)には、

『授業のユニバーサルデザインvol.4』(授業のユニバーサルデザイン研究会 桂聖・廣瀬由美子編著、東洋館出版社、2012.3。1980円)
『国語授業のユニバーサルデザイン』(桂聖著、東洋館出版社、2011.2。1870円)

を使っています。

 

説明文の教材研究の方法

 

2012年9月、同僚教員の指導案作成の資料として作成した文章です。

後半に紹介している2012年度4年生の指導案は、この方法に則って作成されています。そちらを参照しながら読んでください。

 

【ステップ1】 一人の読者として文章(教材)を読む


一人の読者として、読んで印象に残ったことを書いておくとよい。
・1番おもしろかったところは?
・「なるほど」と納得したところは?
・疑問に思ったことは?
・納得できなかったところは?

 

【ステップ2】 5つの読みの観点から、教材の特性を導き出す


※5つの読みの観点とは

①要点
②問いと答え
③説明文特有の表現方法
④三段構成
⑤要旨や意図


※5つの読み方には、それぞれ、下位内容の論理的な読み方がある。
①要点…「主語、述語がわかる」「中心文をさがす」「中心文を要約するには述語から短くする」という方法が必要。
③表現技法…○接続語…段落相互の関係を考えながら読むことができる。
○文末表現…事実と意見を区別して読むことができる。
○指示語
内容的な特徴だけでなく、文章を読み解く方法や論理に着目する。

 

【ステップ3】 指導内容(読み方)を確定する


学習指導要領や指導書を参考にして、言語活動や指導内容を確定する。教科書には、言語活動や指導内容のヒントが書かれているので、それを参考にするとよい。


※注

指導事項…学習指導要領に書かれているもの
指導内容…「教材の特性」「言語活動」「指導事項」「子どもの実態」から導き出した、授業で具体的に教える内容

 

【ステップ4】 問題解決的な展開で、単元の指導計画を立てる


第一次 学習の計画を立てる(学習のイメージや見通しを持つ)
第二次 共通教材で精読する(論理的な読み方を習得する)
第三次 発展読書や表現活動をする(論理的な読み方を活用する)

 

【ステップ5】 問題解決的な展開で、授業の指導計画を立てる


「課題意識を引き出す → 内容のイメージ化 → 論理のイメージ化 → 全員の表現活動」というおおまかな流れで授業を構成する。 

 

 

 

※参考文献『教材に「しかけ」をつくる国語授業10の方法 文学アイデア50』(授業のユニバーサルデザイン研究会沖縄支部著・桂聖編著、東洋館出版社、2013.2。2310円)・ 『教材に「しかけ」をつくる国語授業10の方法 説明文アイデア50』(授業のユニバーサルデザイン研究会沖縄支部著・桂聖編著、東洋館出版社、2013.4。2310円)

全文のリンクはこちら。

yosh-k.hatenablog.com