教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

説明文を読む(4)3年「言葉で遊ぼう」

3年「言葉で遊ぼう」(光村図書)

 

「言葉で遊ぼう」は、「段落とその中心をとらえて読み,かんそうをつたえ合おう」という単元を構成する2つの教材の1つで、「練習教材」の位置づけです。

 

学習指導要領で本単元の位置を確認します。

〔知識及び技能〕
⑴カ 主語と述語との関係、修飾と被修飾との関係、指示する語句と接続する語句の役割、段落の役割について理解すること

〔思考力,判断力,表現力等〕

C⑴ア 段落相互の関係に着目しながら、考えとそれを支える理由や事例との関係などについて、叙述を基に捉えること

 

光村図書のHPにある資料より、単元の指導例を引用します。

 

段落」「問い」「答え」「はじめ・中・おわり」が、重要な指導内容であることが分かります。

これらは、説明的文章の読みにおいて、基本中の基本ばかりです。算数で言えば四則計算の指導に該当するような部分です。

 

練習教材「言葉で遊ぼう」では、それらの言葉の意味を理解し、使い方を学びます。その学びを、本教材「こまを楽しむ」に活かします。

 

本単元の配当時間は8時間で、そのうち「言葉で遊ぼう」には2時間が充てられています。

練習教材「言葉で遊ぼう」の2時間は、きちんと指導する時間です。

 

 

日常生活に必要な国語の知識や技能を身に付け,筋道立てて考える力」というのが、小学校卒業時の子どもたちに付けておきたい説明文の読みの力です。

筋道立てて考える力」というのをより説明文の読みに引き寄せて言うと、「三段構成の文章をきちんと読み取れる力」です。

 

三段構成」とは、「はじめ・中・おわり」という文章構成のことです。

yosh-k.hatenablog.com

 

光村図書は早くから練習教材の文章に「はじめ・中・おわり」の色帯を付けました。このことは、授業における無用な混乱を防ぎ、論理的な授業に導くことに大きく貢献していると私は感じています。

三段構成を意識させたいという教科書の意図(編集委員である筑波大付小の桂聖さんの尽力だと私は思っています)を理解して、授業に臨みたいものです。

 

指導事例では、「言葉で遊ぼう」の読みは1時間扱いです。

2「言葉で遊ぼう」を読む。
 ・P159を参考に「段落」の意味を理解する。
 ・「問い」を確認する。
 ・各段落に書かれていることを確かめながら音読する。
 ・③④段落から「問い」の「答え」に当たる部分に線を引く。
 言葉遊びについて感じたことを友達と伝え合う。

いまどきの教科書はいたって親切です。

脚注に「段落」と「問い」を解説しています。

「段落」には「文章を組み立てているまとまり。」という説明があり、巻末の159㌻を参照するように指示しています。

「問い」については160㌻参照の指示があります。

巻末にはこうあります。

段落

 文章を組み立てている、事がらごとのないようのまとまり。

はじめを一字下げて表す。

  読むときは、それぞれの段落で何が書かれているのかを考える

  と、全体のないようがとらえやすい。書くときは、ないようご

  とに段落を分けると、読み手に分かりやすい。

 

問い(問いの文)

 せつめいする文章などで、これから何を書くかを、読み手に

問いかけるかたちで表した文のこと。

  問いの文を見つけると、文章全体で書かれていることを見通す

  ことができる。

 

まず、「段落」の指導です。

段落 文章を組み立てている、事がらごとのないようのまとまり。

板書しましょうか。

のちのちまで使えるように掲示物にするとさらにいいです。

 

段落の見つけ方 はじめが一字下げになっているところを見つける

これも板書や掲示物に。

 

「言葉で遊ぼう」で一字下げになっている所を見つけます。教科書には①~⑥の番号が付されています。

「言葉で遊ぼう」は6つの段落でできている文章である、ということを押さえます。

 

つづいて、「問い」の指導です。

問いの文 これから何を書くかを、読み手に問いかけるかたちで表した文のこと。

これも板書。

そして、「問いの文を見つけると、文章全体で書かれていることを見通すことができる」ことを捕捉します。

 

「言葉で遊ぼう」の問いの文は、教科書に二重傍線を引いて「問い」と書かれています。

そのまま板書します。

言葉遊びには、ほかにどのようなものがあるのでしょうか。また、どのような楽しさがあるのでしょうか。

ここで、次の2点を押さえます。

・問いの文が①段落に書かれていること。

・問いの文のある①段落が、3つのまとまりの「はじめ」にあること。

さらに、文末表現に着目して、問いの文の見つけ方を指導します。

問いの文の見つけ方……終わりがたずねるかたちになっている文を見つける

 

段落の見つけ方、問いの文の見つけ方を指導することが、本時の論理です。

 

さて、この段階で「三段構成」をきちんと指導するわけではありませんが、板書は「三段構成」を意識して行いましょう。

チョークの色を変える、掲示の模造紙の色を変えるなど、「見える化」します。私は下図のような色で分けていました。(本当はすべての学年で統一しているといいです)

 

「なか」のまとまりの②③④段落には、「問い」に対する事例と「答え」が書かれています。

②段落は、教科書に正解が書き込まれています。ここは確認しながらスキルを教える場面です。

この場面でのスキルは…。

「答え」は段落の1文目にあって、その後くり返し出てきます。(つまり、段落の「中心語」です)

「どのような楽しさがあるのでしょうか」という「問い」には、「……という楽しさがあります」と答えている。

 

教科書脚注には「③④だんらくにも、「問い」の「答え」に当たるぶぶんに線を引きましょう。」とあり、自力学習を促しています。

私だったら、③段落はペア学習で相談しながら見つけさせます。④段落は一人学習ののち、ペアかグループで確認を行います。スモールステップで難度を上げながら、スパイラルに定着をはかるという「戦略」です。

③回文…回文になっている言葉や文を見つけたり、自分で作ったりする楽しさがあります。

アナグラムアナグラムには、元の言葉とは全くちがう意味の言葉を作る楽しさがあるのです。

 

時間があれば、

「おわり」のまとまりには「まとめ」が書かれていること、「このように」というまとめに使う言葉で始まっていることも押さえておきたいです。