教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

説明文を読む(5)3年「こまを楽しむ」

3年「こまを楽しむ」(光村図書)

 

「こまを楽しむ」は、「段落とその中心をとらえて読み,かんそうをつたえ合おう」という単元を構成する2つの教材の1つで、「本教材(主教材)」の位置づけです。

 

単元の配当時間は8時間で、そのうち「こまを楽しむ」には6時間が充てられています。

「こまを楽しむ」の6時間のうち、「読み」に与えられたのは第3時の1時間です。

 

3「こまを楽しむ」の構成を捉える。

 ・「問い」を二つに分けてノートに書く。

 ・「はじめ」「中」「おわり」のまとまりを捉える。

  段落に番号をつけて考える。

 ・「中」では,どのような「問い」に対する「答え」が書かれているか,

  音読しながら,中心となる言葉や文を確かめ,ノートに整理する。

 ・P59を読み,文書における全体と中心の関係やその捉え方について

  理解する。

 ・「おわり」は,「中」で書かれた六つのこまをどのような言葉で

  まとめているか,考える。

 

「こまを楽しむ」の段落とその中心をとらえよう

本時のねらいは「『こまを楽しむ』の構成を捉える」です。しかし、3年生の子どもに「構成をとらえる」は理解できるでしょうか。「段落とその中心をとらえよう」と置き換えてみました。

 

1時間でこれだけの学習活動をこなし、きちんとノートに整理できる子は、クラスにどの程度いるでしょうか。多くのクラスでは、ワークシートを用意してハードルを下げてやる方がいいと思われます。(ワークシートは「指導書」についているものをコピーするのではなく、子どもの実態と授業意図に応じて手作りしてください)

 

授業は、本時の学習課題を示した後、前時(「言葉で遊ぼう」の読みの時間)の復習から始めます。

振り返りでは、次のことを押さえます。

・段落の意味と見つけ方

・「問い」の意味と見つけ方

・「はじめ」「なか」「おわり」のまとまりと役割

「言葉で遊ぼう」のときに作った掲示物を効果的に活用しましょう。

 

教科書では教材文のあとに「学習」というページがあります。まるで指導案のようなページで、これは授業展開の参考になります。ただし、これは学びの進め方ナビであって、算数の「次の問いに答えなさい」のような指示ではありません。

東京書籍にも同様のページがあって、あるとき若い先生の授業を見ていたら、そのページを子どもに音読させました。そして、「さあ、答えをノートに書きましょう」ときました。ーーまあ、なんとストレートな授業。一部の「できる子」はそれでもいいでしょうが、「咀嚼」して初めて授業と呼ぶのだと思います。

 

わたしだったら…

 

まず、一人読みで音読させます。そのとき2つの指示を出します。

1 段落の始まりに①②…と番号を付けること。

2 「問い」と「答え」を見つけながら読むこと。

 

文末表現を手がかりに、「問い」を見つけます。

ペア学習で確認し合い、全体で共有します。そうすることで、自信を持てない子の自力学習を後押しできます。

「問い」の文が2つあります。

「問い①」に赤線を、「問い②」に青線を引かせます。「見える化」です。「見える化」は、すべての子がわかる授業づくりに欠かせない手段です。

「問い①」どんなこまがあるのでしょう。

「問い②」どんな楽しみ方ができるのでしょう。

 

「三段構成(「はじめ」「なか」「おわり」)」のまとまりを整理します。

「三段構成」の図を示し、それぞれのまとまりの役割を確認します。

「はじめ」には「問い」があるので、①段落です。

つぎに、「おわり」を見つけます。「このように」という書き出しから、⑧段落が「おわり」であることをつかみます。

「はじめ」と「おわり」を除いた残りの段落が、「なか」です。②段落から⑦段落までです。

 

「なか」を読みます。

「問い①」「問い②」に対する「答え」(「答え①」「答え②」)を見つけます。

②段落は、一人読みをして、「問い①」対する「答え①」に赤線、「問い②」対する「答え②」に青線を引きます。ペア学習で確かめをして、ワークシートに書き込みます。そのあとで全体共有です。

「答え①」色がわりごま

「答え②」回っているときの色を楽しむ

③から⑦段落は一人学習です。

③段落

「答え①」鳴りごま

「答え②」回っているときの音を楽しむ

④段落

「答え①」さか立ちごま

「答え②」とちゅうから回り方がかわり、その動きを楽しむ

⑤段落

「答え①」たたきごま

「答え②」たたいて回しつづけることを楽しむ

⑥段落

「答え①」曲ごま

「答え②」曲芸で使われ、おどろくような所で回して、見る人を楽しませる

⑦段落

「答え①」ずぐり

「答え②」雪の上で回して楽しむ

 

「おわり」のまとまりを読む。

⑧段落には「まとめ」が書かれています。

人々は、この(じくを中心にバランスをとりながら回るという)つくりにくふうをくわえ、回る様子や回し方でさまざまな楽しみ方のできるこまをたくさん生み出してきたのです。

・回る様子で楽しむ……色がわりごま 鳴りごま さか立ちごま

・回し方で楽しむ………たたきごま 曲ごま ずぐり

 

読みの授業の前後に「こまを楽しむ」時間を設け、授業を楽しむようにしたいです。