3年「すがたをかえる大豆」(光村図書)
「すがたをかえる大豆」は、「れいの書かれ方に気をつけて読み,それをいかして書こう」という単元に配置された教材です。
学習指導要領で本単元の位置を確認します。
〔知識及び技能〕
(2)イ 比較や分類のしかた,辞書の使い方を理解し使うことができる。
〔思考力,判断力,表現力等〕
B⑴ウ 自分の考えとそれを支える理由や事例との関係を明確にして,書き表し方を工夫することができる。
C⑴ア 段落相互の関係に着目しながら,考えとそれを支える理由や事例との関係などについて,叙述を基に捉えることができる。
本単元は、「書くこと」がメインになります。「書くこと」のベースは「読むこと」にあり、単元名「れいの書かれ方に気をつけて読み,それをいかして書こう」は、そのことを端的に示しています。
1学期の説明文単元は、練習教材と本教材という2教材で成っていました。読みのスキルを学ぶ教材と、学んだスキルを生かして読むという学習展開です。本単元は「読むこと」を基盤として、その発展学習として「書くこと」があります。スパイラルに学びを積んでいく構成は、1学期単元も2学期単元も同じです。
光村図書のHPにある資料より、単元の指導例を引用します。
全15時間のうち「読む」が前半の6時間、「書く」が後半の8時間という配当です。
「読む」において、「すがたをかえる大豆」を扱うのは第2時~第5時の4時間です。
「段落相互の関係」「考えとそれを支える理由や事例との関係」といったことがポイントになります。
2文章全体の組み立てに着目して,教材文を読む。
・「初め」「中」「終わり」に説明されていることを整理する。
・筆者が「中」で挙げている具体例を,表などにしてノートに整理する。
・「いる」「にる」のように,大豆に手を加えるときの言葉を探し,ノートに書き出し,言葉の意味を国語辞典で確かめる。
3「初め」の部分に問いを入れるとしたら,どんな「問い」を入れるかを考えて,ノートに書く。
4「中」について,段落の順序を表す言葉や中心になる文を確かめながら読む。
・段落の順序を表す言葉やそれぞれの段落の中心となる大事な文に線を引く。
・どのような順序で事例が挙げられているのかが分かるところを見つける。
5筆者の説明の工夫をまとめる。
・文章全体の組み立てと各段落の組み立て,言葉の使い方,写真の使い方などに着目して,筆者の説明の工夫をまとめ,友達と意見を交流する。
「すがたをかえる大豆」は、三段構成で書かれた説明文です。形式段落は8段落あります。
「初め」
第①段落 わたしたちの毎日の食事には、…
第②段落 大豆は、…
「中」
第③段落 いちばん分かりやすいのは、…
第④段落 次に、…
第⑤段落 また、…
第⑥段落 さらに、…
第⑦段落 これらの他に、…
「終わり」
第⑧段落 このように、…
「段落」や「三段構成(はじめ・中・おわり)」については、1学期教材で学習しています。
8つの段落を見つけることは問題なくできるでしょう。
つづいて、3つのまとまりに分けます。
本教材では、「おわり」から始めると分かりやすいと思います。
既習内容を用いて、「このように」から始まる第⑧段落が「おわり」であることが分かります。
次に、「はじめ」です。
1学期の学習では、「問い」のあるのが「はじめ」だと学んでいます。したがって、「問いの文」=「たずねるかたちの文」を見つけることで、「はじめ」のまとまりを分けました。
ところが、本教材には問いの文がありません。「話題提示」というカタチをとっています。
さて、どうするか。
教科書「学習」のページに、こうあります。
●「すがたをかえる大豆」には、「はじめ」に「問い」がありません。「問い」を入れるとしたら、どこに、どんな文を入れますか。
「指導例」では、これを第3時の1時間を使ってやらせようとしています。これから書くことは、その授業展開でもあります。
まず、「おわり」のまとまりに書かれていることを整理します。
・大豆はいろいろなすがたで食べられている。
・多くの食べ方がくふうされてきたのは、大豆が味もよく、たくさんのえいようをふくんでいるからである。
「おわり」には、「問い」に対する「答え」(「話題提示」に対する「まとめ」)が書かれています。
ここでは「いろいろなすがた」「食べ方のくふう」というキーワードをもとに、「話題」が書かれている段落を探します。
第①段落には、「大豆は、いろいろな食品にすがたをかえていることが多い…」とあります。
第②段落には、「昔から いろいろ手をくわえて、おいしく食べるくふうをしてきました。」
「おわり」=「まとめ」に対する「話題提示」がなされている第①段落・第②段落が「はじめ」になります。
「問いの文」は、「話題提示」の文をたずねる文に書き換えることを基本にしてつくります。「問い」は2文あります。
(それでは、)大豆はどんな食品にすがたをかえているのでしょう。
また、(私たちは、大豆を)おいしく食べるために、どんなくふうをしてきたのでしょう。
「問いの文」は、「はじめ」のまとまりの最後に入れます。(第①段落・第②段落のあとに1文ずつ入れるのもありだと思いますが、私は「はじめ」の最後にまとめたほうがすっきりすると思います。)