教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

説明文を読む(21)4年「世界にほこる和紙」①

4年「世界にほこる和紙」(光村図書)

 

「世界にほこる和紙」は、「中心となる語や文を見つけて要約し,調べたことを書こう」という単元に配置された教材です。

 

学習指導要領で本単元の位置を確認します。

〔知識及び技能〕
(2)イ 事典の使い方を理解し使うことができる。

〔思考力,判断力,表現力等〕

B⑴ウ 自分の考えとそれを支える理由や事例との関係を明確にして,書き表し方を工夫することができる。

C⑴ウ 目的を意識して,中心となる語や文を見つけて要約することができる。

 

本単元は、「書くこと」がメインになります。「書くこと」のベースは「読むこと」にあり、単元名「れいの書かれ方に気をつけて読み,それをいかして書こう」は、そのことを端的に示しています。

1学期の説明文単元は、練習教材と本教材という2教材で成っていました。読みのスキルを学ぶ教材と、学んだスキルを生かして読むという学習展開です。本単元は「読むこと」を基盤として、その発展学習として「書くこと」があります。スパイラルに学びを積んでいく構成は、1学期単元も2学期単元も同じです。

 

光村図書のHPにある資料より、単元の指導例を引用します。

全16時間のうち「読む」が前半の6時間、「書く」が後半の9時間という配当です。

 

「読む」において、「世界にほこる和紙」を扱うのは第2時~第5時の4時間です。

要約」が重点ポイントになります。

あわせて「三段構成」を捉える活動を重視しています。「三段構成」は3年生から繰り返し学んでいますが、今回は後半の「書く」における活動を支える柱になります。

 

2~5時

2「世界にほこる和紙」を読み,中心となる語や文を見つけて要約する。

 ・筆者の伝えたいことは何かを考えながら読み,文章の構成を捉える。

 ・まとまりごとに中心となる語や文を確かめ,それを用いて文章全体を200字以内で要約する。

                      →上P86「要約するとき」

 ・要約した文章を読み合い,要約のしかたについて気づいたことを伝え合う。

 

「世界にほこる和紙」は、三段構成で書かれた説明文です。

形式段落は10段落あります。

「初め」

第①段落 二〇一四年一月二十六日、…

第②段落 わたしは、…

「中」

第③段落 まず、…

第④段落 紙のやぶれにくさは、…

第⑤段落 紙が長もちするかどうかは、…

第⑥段落 このような和紙のとくちょうは、…

第⑦段落 もう一つ、…

第⑧段落 今からおよそ千年前の平安時代、…

第⑨段落 わたしは、…

「終わり」

第⑩段落 このように、…

 

「三段構成」の見つけ方ですが、この教材文ではまず「終わり」を見つけます。あとで触れますが、「世界にほこる和紙」には「問い」の文がありません。そのため、「初め」を見つけることから始めると混乱が起こります。教科書の「学習」でも「筆者の考えが書かれている段落を見つけて、全体を『初め』『中』『終わり』に分けましょう。」と指示していますが、同様の考えによるものと思います。

「このように」から始まる第⑩段落が「終わり」であることは容易に見つけられるでしょう。

「筆者の考え」は、「このように、和紙のつよさと、使う紙を選ぶわたしたちの気持ちによって、長い間、和紙は作られ、さまざまなところで使われ続けてきたのだと、わたしは考えています。」という一文にあります。

 

次に、「初め」です。

「三段構成」の基本では、「問い」のあるのが「初め」だと学んでいます。したがって、「問いの文」=「たずねるかたちの文」を見つけることで、「初め」のまとまりを分けました。

ところが、本教材には問いの文がありません。「話題提示」というカタチをとっています。

さて、どうするか。これは3年生の「すがたをかえる大豆」で経験済みです。

blog.hatena.ne.jp

「筆者の考え」に対応する文が、第②段落の2文目です。「なぜなら、和紙には洋紙にはないよさがあり、和紙を選んで使うことは、自分の気持ちを表す方法の一つだからです。」

したがって、第①段落と第②段落が「初め」です。

 

「初め」と「終わり」を除いた部分、つまり、第③段落から第⑨段落までが「中」になります。

教科書「学習」は、「筆者は考えの理由となることを二つ挙げています。それぞれの理由が説明されている段落を考えて、『中』を二つのまとまりに分けましょう。」と指示しています。

各段落の書き出しに注目します。

第③段落 まず、…

第④段落 紙のやぶれにくさは、…

第⑤段落 紙が長もちするかどうかは、…

第⑥段落 このような和紙のとくちょうは、…

第⑦段落 もう一つ、…

第⑧段落 今からおよそ千年前の平安時代、…

第⑨段落 わたしは、…

「中-1」が第③段落~第⑥段落、「中-2」が第⑦段落~第⑨段落です。

「中-1」…「和紙のよさ」「和紙のつよさ」

「中-2」…「自分の気持ちを表す方法」