教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

説明文を読む(16)1年「じどう車くらべ」

1年「じどう車くらべ」(光村図書)

 

「じどう車くらべ」は、「せつめいする 文しょうを よもう」という単元に配置された教材です。

 

学習指導要領で本単元の位置を確認します。

〔知識及び技能〕
(2)ア 事柄の順序など情報と情報との関係について理解することができる。

〔思考力,判断力,表現力等〕

C⑴ア 事柄の順序などを考えながら,内容の大体を捉えることができる。

C⑴ウ 文章の中の重要な語や文を考えて選び出すことができる。

 

小学校国語の授業において、実質的に子どもたちが最初に出会う説明文教材(註)です。

本単元には、学習指導要領が示す指導事項以上に重要な位置があります。それは、ここでの学びが、子どもたちを科学読み物の世界にいざなう入り口になるということです。

説明的な読み物、論理的な読み物を楽しいと思える出会いにすることが、授業づくりの第一の観点になると私は捉えています。

(註)6月教材に「くちばし」があります。「順序」「主語・述語」といった低学年の重点指導項目は、この教材から始まっています。ただし、この教材は「科学読み物」というよりも「科学絵本」の範疇といえます。「説明文教材」という括りでは、本単元が「実質的に最初」ということになります。

 

光村図書のHPにある資料より、単元の指導例を引用します。

本単元「せつめいする 文しょうを よもう」は、「じどう車くらべ」(「読む」7時間)と「じどう車ずかんをつくろう」(「書く」5時間)で構成されています。「読む」で習得したスキルを「書く」に活かすことで定着をはかるという構図です。(この単元構成は、この時期の説明文では全学年共通です。)

 

本単元の「スキル」は、「事柄の順序」です。

 

「じどう車くらべ」は、「三段構成」のかたちをとっていません。「はじめ」と「なか」はありますが、「おわり」がありません。

「はじめ」には、「問い」が書かれています。

「なか」には、「問い」に対する「こたえ」が3例書かれています。

「おわり」は省かれています。ここには、「このように、それぞれの車はそのしごとに必要な機能を備えたつくりになっているのです。」といった内容の「まとめ」があると想定すればいいでしょう。

 

本単元で扱う「事柄の順序」とは、次のような文章構造を指しています。

 

「事柄の順序」の意識化には、「見える化(可視化)」が欠かせません。

たとえば上のような構造図を作って、そこに教材文を書き込むパターンを工夫すればいいと思います。

「問い」に「赤色」、「答え」に「青色」を使っています。これは、「三段構成」の学習になったとき、「問い」に「赤色」、「まとめ」に「青色」を使うという私の「約束事」の一環です。(これは、学校の「約束事」として決めておくことが大事です。)

子どもには、青赤鉛筆でサイドラインを引くように指導します。また、「そのために」は四角に囲ませます。

 

このパターンは、そのまま「書く」の指導に活用します。

 

さあ、あとは楽しくまなぶ演出と工夫です。