教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

説明文を読む(25)5年「固有種が教えてくれること」③

3文章の構成を整理し,内容を捉える。

・「初め」「中」「終わり」のまとまりを確かめる。

・「初め」「終わり」で書かれている,筆者の考えの中心を捉える。

「中」の段落に見出しをつけて内容を整理し,「中」を二つに分ける。

筆者が図表やグラフ,写真を使った意図と効果を考え,要旨を捉える。

 ・P148の「統計資料の読み方」を読み,資料を読むときに気をつけることを確認する。

 ・文章の要旨を150字程度でまとめる。

 

筆者が図表やグラフ、写真を使った「意図と効果」は、「学習」の次の部分に該当します。

意図

〈筆者の立場から考える〉

・筆者は、この図表を示すことで、--を伝えたいのではないか。

効果

〈読み手の立場から考える〉

・もし、このグラフがなかったら、--。

・文章と図表をあわせると、--ということがいえる。

 

 

さて、本単元「資料を用いた文章の効果を考え,それをいかして書こう」のメインは、「資料を用いた文章を書く」ことです。

ここまでの読解の学習は、いわばそのための準備です。

 

資料を活用して文章を書く活動は、本単元に学習にとどまるものではありません。他教科・領域の様々な活動において直面するし、それは今後ますます増えていくでしょう。

私のわずかな経験に照らして、注意したいことがあります。

子どもは資料を丸写ししがちです。難語句や読めない漢字をそのまま使っていたり、自分の論旨に沿わない記述をそのまま使っていたり…。

資料は、自分の目的に沿って切り取り、咀嚼して使わなければなりません。じつは、これは相当高度な学習です。機会を捉えて意識的に指導を重ねないと、大きなカベになってしまいます。

 

2011年のものですが、6年生のクラスで資料を使って書く学習の記録が残っています。一部を紹介します。

 

 単元名  「持続可能な社会」への取り組みについて調べよう
          教材名 「未来に生かす自然のエネルギー」牛山泉作
                                                      (東京書籍 小学校6年下)
 目標
 ○エネルギー問題に関心を持って読み、必要な情報を得るために進んで複数の資料で調べようとする。【関心・意欲・態度】

 ○資料の示し方や具体例の挙げ方に注意して、文章と資料を関連させながら読み、筆者の意見を読み取る。【読むこと】
○調べたことをもとにして、資料や情報を活用してリーフレットにまとめる。【書くこと】

-中略-

○ 本単元の最終目標は、説得力のある(効果的な)論理的文章が書けるようになることである。前半の読み取りは、児童の意欲喚起と具体的な方法習得の役割を担っている。そういう位置づけで前半の指導に当たりたい。
①文章構成図を積極的に活用して一人読みを支援する。
・序論(話題提示)→本論(説明)→結論(まとめ)という文章構成は、これまで学習してきた説明文の典型的な型である。この型を示して一人読みを支援することで、課題に沿って資料を読むという後半の学習が円滑に進むと考える。(こうした一人読みの力こそ、卒業までに付けたい力だ。)
②図やグラフの有効性を実感させる。
・連続型テキストと非連続型テキストの補完関係を確認させたい。どういう場面でどういう資料が使われているか、言い換えると、読み手を納得させるための筆者の「説明の技」を押さえ、リーフレット作りに生かしていく。(非連続型テキストを自在に扱えることは、PISA型学力の重要な一部分でもある。)

リーフレットを検証軸に
 本単元の中心課題は、調べたことをもとにして、資料や情報を活用してリーフレットにまとめることであった。子どもたちが作成したリーフレットをもとに、これまでの取り組みを検証したい。評価規準に照らしてA評価のリーフレットが5割、B評価が3割、C評価が2割あった。C評価の内1部は作文力そのものに難があり、他は論理展開に沿った資料の活用ができていなかった。
 作品Aは、1行目・話題提示、4行目・現状、12行目・具体的な取り組み、31行目・課題、38行目・解決策、43行目・主張というように、教材文と同様の文章構成になっている。「説明の技1」を自分のものにしている。
 「図1」を使って「説明の技2」を検証してみよう。バイオマス発電の増加を示すにふさわしい資料を選んでいる。5行目で何の資料かを示し、次に具体的な数字を示し、最後にマクロな変化を読み取ることで資料から分かることを記述している。「説明の技2」も十分に使いこなしている。
 文章の論理展開はどうだろうか。話題提示から現状までは「バイオマス発電」について述べている。ところが、具体的な取り組み以降はペレットストーブが取り上げられている。正しくは「バイオマスエネルギー」または「バイオマス熱利用」として論を進めるべきだと思うが、子どもにとって耳慣れない話題ゆえ、この程度の混乱は許容されるべきだろう。その点を除けば、取り組みから出てきた課題を2点挙げ、それぞれに対する解決策を述べ、最後は「私達の行動が大切にな」ると結論づけている。-後略-