教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

説明文を読む(23)5年「固有種が教えてくれること」①

5年「固有種が教えてくれること」(光村図書)

 

「固有種が教えてくれること」は、「資料を用いた文章の効果を考え,それをいかして書こう」という単元に配置された教材です。

 

学習指導要領で本単元の位置を確認します。

〔知識及び技能〕
(2)イ 情報と情報との関係づけのしかた,図などによる語句と語句との関係の表し方を理解し使うことができる。

〔思考力,判断力,表現力等〕

B⑴エ 引用したり,図表やグラフなどを用いたりして,自分の考えが伝わるように書き表し方を工夫することができる。

C⑴ウ 目的に応じて,文章と図表などを結び付けるなどして必要な情報を見つけたり,論の進め方について考えたりすることができる。

 

本単元は、「書くこと」がメインになります。「書くこと」のベースは「読むこと」にあり、単元名「れいの書かれ方に気をつけて読み,それをいかして書こう」は、そのことを端的に示しています。

1学期の説明文単元は、練習教材と本教材という2教材で成っていました。読みのスキルを学ぶ教材と、学んだスキルを生かして読むという学習展開です。本単元は「読むこと」を基盤として、その発展学習として「書くこと」があります。スパイラルに学びを積んでいく構成は、1学期単元も2学期単元も同じです。

 

光村図書のHPにある資料より、単元の指導例を引用します。

全11時間のうち「読む」が前半の5時間、「書く」が後半の5時間という配当です。

 

「読む」において、「固有種が教えてくれること」の読解を扱うのは第3時~第4時の2時間です。

「目的に応じて,文章と図表などを結び付けるなどして必要な情報を見つけたり,論の進め方について考えたりすることができる」ことがメインの単元ですので、「読む」の第5・6時とそのあとの「書く」が学習の中心です。

読解においては、「要旨」が重点ポイントになります。

 

 

「固有種が教えてくれること」は、三段構成で書かれた説明文です。

形式段落は11段落あります。

「初め」「中」「終わり」については、「学習」ページに正解が示されています。時短ですね。

「初め」

第①段落 ウサギといえば、…

第②段落 固有種には、…

「中」

第③段落 日本に固有種が多いことは、…

第④段落 日本に固有種が多いわけは、…

第⑤段落 資料2を見てください。…

第⑥段落 北海道が大陸とはなれたのは、…

第⑦段落 このようなことから、…

第⑧段落 では、…

第⑨段落 この問題が分かってから、…

第⑩段落 しかし、…

「終わり」

第⑪段落 今、…

 

 

3文章の構成を整理し,内容を捉える。

・「初め」「中」「終わり」のまとまりを確かめる。

・「初め」「終わり」で書かれている,筆者の考えの中心を捉える。

「中」の段落に見出しをつけて内容を整理し,「中」を二つに分ける。

4筆者が図表やグラフ,写真を使った意図と効果を考え,要旨を捉える。

 ・P148の「統計資料の読み方」を読み,資料を読むときに気をつけることを確認する。

 ・文章の要旨を150字程度でまとめる。

 

・「初め」「終わり」で書かれている,筆者の考えの中心を捉える。

「初め」

第①段落

 特定の国やちいきにしかいない動植物のことを「固有種」という。

第②段落

 今、絶滅が心配されている固有種が数多くいる。

 固有種と他の種を比べることは、生物の進化の研究にとても役立つ。

 日本には、固有種がたくさん生息するゆたかな環境がある。

 この固有種たちがすむ日本の環境を、できるだけ残していきたい。

「終わり」

第⑪段落

 数万から数百万年もの間生き続けてきた固有種は、生物の進化や日本列島の成り立ちの生き証人としてきちょうな存在である。

 また、日本列島のゆたかで多様な自然環境が守られていることのあかしでもある。

 わたしたちは、固有種がすむ日本の環境をできる限り残していかなければならない。

 

・要旨を捉える。

まず、「要旨」と「要旨の捉え方」について。

■「要旨」…その文章で筆者がもっとも言いたいこと。一般的に尾括型の三段構成の文章では「まとめ」の段落の「要点」が「要旨」である。

「要旨の捉え方」は1学期教材「見立てる」で学んでいます。

yosh-k.hatenablog.com

 

「固有種が教えてくれること」は尾括型ではなく両活型の文章です。したがって、筆者の言いたいことは「初め」と「終わり」にあります。

この文章では第②段落と第⑪段落がほぼ重なっています。内容がより具体的な第⑪段落を中心にまとめていくことにします。

 

・文章の要旨を150字程度でまとめる。

第⑪段落の4つの文をつないでみます。

 

今、絶滅が心配されている固有種が数多くいる。数万から数百万年もの間生き続けてきた固有種は、生物の進化や日本列島の成り立ちの生き証人としてきちょうな存在である。また、日本列島のゆたかで多様な自然環境が守られていることのあかしでもある。わたしたちは、固有種がすむ日本の環境をできる限り残していかなければならない。(154字)

 

154字になります。150字程度という条件に合いますから、ほぼこれをベースにしてはどうでしょう。

 

 

次回は、「見出し」についてです。