教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

説明文を読む(19)3年「すがたをかえる大豆」②

「すがたをかえる大豆」の読みの続編です。

 

前回仮につくった「問い」を「はじめ」に入れると、次のような文章構成になります。

 

「中」のまとまりの読みです。

 

第③段落から第⑦段落について、「おいしく食べるくふう」と「(すがたをかえた)食品」に分けて整理します。

まず、「くふう」に赤、「食品」に青のサイドラインを引きます。その後、ノートやワークシートにまとめます。

第③段落

「くふう」大豆をその形のままいったり、にたりして、やわらかく、おいしくするくふう

「食品」・豆まきに使う豆 ・に豆

第④段落

「くふう」こなにひいて食べるくふう

「食品」・きなこ

第⑤段落

「くふう」大豆にふくまれる大切なえいようだけを取り出して、ちがう食品にするくふう

「食品」・とうふ

第⑥段落

「くふう」目に見えない小さな生物の力をかりて、ちがう食品にするくふう

「食品」・なっとう ・みそ ・しょうゆ

第⑦段落

「くふう」とり入れる時期や育て方をくふう

「食品」・えだ豆 ・もやし

 

 

ここまでは、「すがたをかえる大豆」を読みとる授業でした。ここで終わってしまっては、「論理」の授業にはなりません。「論理」の授業であるためには、その教材を通して普遍的な力が育たなければなりません。

ここでの「普遍的な力」は、「例の書き方」を身につけることです。

「指導例」ではこれを第5時で扱っています。

5筆者の説明の工夫をまとめる。

・文章全体の組み立てと各段落の組み立て,言葉の使い方,写真の使い方などに着目して,筆者の説明の工夫をまとめ,友達と意見を交流する。

「例の書き方」の具体的なスキルとして、「文章全体の組み立てと各段落の組み立て,言葉の使い方,写真の使い方」を挙げています。

文章全体の組み立て」というのは、「三段構成」を指します。

つまり、「はじめ」には「問い(または、話題提示)」を、「おわり」には「答え(または、まとめや主張)」を書き、「中」には具体的な事例をかくという文章構成です。

各段落の組み立て」が何を指すのかは定かではありませんが、私は次のように捉えています。

たとえば③段落をみると、まず「大豆をその形のままいったり、にたりして、やわらかく、おいしくする」という「くふう」が書かれていて、そのあとに「豆まきに使う豆」「に豆」といった工夫によって姿を変えた「食品」が書かれています。

「中」の各段落はすべて同様に、まず「くふう」、そのあとに工夫によって姿を変えた「食品」という構成になっています。

同じパターンを繰り返すことで、それぞれの特徴や違いが捉えやすくなります。

言葉の使い方」については、「中」のまとまりで使われている「順序を示す言葉」、「おわり」の冒頭で使われている「まとめ」を表す言葉に注目します。

「順序を示す言葉」…「次に」「また」「さらに」

「まとめ」を表す言葉…「このように」

写真の使い方」では、教科書の記述と写真を照応しながら分かりやすさを体感すればいいでしょう。とりわけ、豆腐の製造過程の写真は記述の理解を補ううえで有効だと感じます。

 

このあとに、各自が食材を決め、調べたことをもとに文章を書くという活動があります。

11文章の組み立てを考える。

 ・「初め」「中」「終わり」に分けて文章の組み立てを考える

 ・「すがたをかえる大豆」を参考にして,分かりやすい例のあげ方を工夫する。

 ・友達と考えた組み立てを読み合い,気づいたところを助言し合う。

12説明する文章を書く。

・組み立てに沿って,下書きをする。

・「すがたをかえる大豆」の書き方の工夫を参考にして,分かりやすい説明のしかたを考える。

・読み返して,分かりにくいところがないか確かめる。

・下書きをもとに,ていねいに清書する。

つまりは、第5時での学びをそのまま活かす活動です。