教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

国語力を磨こう ⑤ 要点

10 要点の取り出し方

 

要点の取り出し方・表現の仕方の《ワザ》

 

中心文をもとに要点を考える

 

〈ヒント〉

(1)指示語はもとにもどす

(2)話題が入っているか

(3)中心語句はどうか

(4)表現する時の字数に注意する

(5)かざりの役目をしている部分はどうか

 

 

ここからは、下村さんの著書を離れて解説を加えます。

 

ここで、説明的な文章の3つの型について触れておきましょう。

 

①尾括型文章…結論を終わりに持ってくる書き方

 

②頭括型文章…結論を初めにおく書き方

 

③両括型文章…結論を初めに書き、説明を加えて、最後にまとめる書き方

 

 

小学校の教科書教材は、ほぼ①の尾括型文章です。それは文章全体についてもそうですし、1つ1つの段落においてもしかりです。

したがって尾括型文章において、各段落の中心文は段落の最後の1文になります。この1文をもとに要点をまとめます。要点は3年生で指導しますが、学年が上がると、中心文はまれに頭括型のこともあるし、両活型のこともあります。しかし、基本は尾括型ですので、まずおしまいの文に着目すると覚えておきましょう。

整理すると、

「要点」は、形式段落を短くまとめたものです。段落の中心文を見つけます。尾括型文章では、最後の文が中心文になります。

 

要点をまとめる演習です。

 

「ありの行列」(光村図書、3年)という教材に、

「 このように、においをたどって、えさの所に行ったり、帰ったりするので、ありの行列ができるというわけです。」

という文があります。この文の要点をまとめます。

 

■まず、述語を見つけます。

述語は「できるというわけです」。

要点をまとめる時は文末表現を常態に統一するように指導します。したがって、「できるというわけだ」となり、さらに短くして「できる」とします。

 

■述語に対応する主語を見つけます。

「できる」のは何かを探します。「ありの行列が」が主語です。

 

■述語を修飾している語句を見つけます。

「においをたどって、えさの所へ行ったり、巣に帰ったりするので」

文のまとめ方のポイントは、
    ○文末表現を常態にする。
    ○できるだけ短くする。修飾語や副詞などで可能な部分を省く。
    ○指示語はそれが指しているもとの語に置き換える。

の3点ですが、今回は省く部分も指示語の置き換えもありません。

 

■要点をまとめる

(このように)は、文章構成を考える上で必要です。

「(このように)においをたどって、えさの所へ行ったり、巣に帰ったりするので、ありの行列ができる。」となります。

しかし、これではまとめ文としてすっきりしません。かといって、「ありの行列が」から始めると、あとの文が続きません。

「述語」「修飾語」から、その「主体」が「あり」であることが分かります。3年生にはちょっと高度ですが。

そこから、

「ありは、においをたどって行ったり帰ったりするので、行列ができる。」

という要点にたどり着くのです。