11 要旨の取り出し方
要旨の取り出し方・表現の仕方の《ワザ》
中心段落の要点をもとに要旨を考える
〈ヒント〉
(1)話題が入っているか
(2)中心語句はどうか
(3)指定された字数に注意する
(4)かざりの役目をしている部分はどうか
下村さんの著書の紹介はここまでです。詳しく読みたい、掲載されている練習問題を解いてみたいという方は、古書を探してください。
さて、学校の先生たちがよく使っている参考書に、教科書会社が出している教師用指導書があります。
驚くべきことに、何年か前までのある指導書は、「要約」と「要旨」の区別がなく誤用もありました。「要旨」をまとめる授業を見た指導助言者が、「もう少し詳しく…」と、それでは要約じゃないかというような「誤」指導をされる場面も目にしました。
両者は、明確に違います。
「要約」…文章全体を短くまとめたもの。基本的には、各形式段落の要点をつないでいくと「要約」になります。
「要旨」…その文章で筆者がもっとも言いたいこと。一般的に「まとめ」の段落の「要点」が「要旨」です。
要約について詳しく見ていきましょう。
要約の基本は形式段落の要点をつないだもので、「あらすじ」と言うこともあります。
たとえば、「ありの行列」の要点は次のようになります。
①なぜ、ありの行列ができるのだろうか。
②ウィルソンという学者が実験とかんさつをした。
③ありの行列は、はじめのありが巣に帰るときに通った道すじから外れていない。
④ありの行列は行く手をさえぎってもまたできるし、帰るときの道すじも変わらない。
⑤ウィルソンは、はたらきありが地面に何か道しるべになるものをつけておいたのではないか、と考えた。
⑥ウィルソンは、はたらきありの体のしくみを研究した。
⑦ウィルソンは、ありの行列ができるわけを知った。
⑧はたらきありは、えさを見つけると、道しるべとして地面にえきをつけながら帰り、ほかのありたちは、においにそって歩く。
⑨ありは、においをたどって行ったり帰ったりするので、行列ができる。
形式段落①~⑨の要点をつないで、「このように」などの接続詞を入れると要約文(あらすじ)になります。ちなみに、「⑨ありは、においをたどって行ったり帰ったりするので、行列ができる。」が、この文章の要旨になります。
要約の「基本」の先には、「応用」があります。それには「三段構成」についての理解が欠かせません。次回のテーマです。