要約は、各形式段落の要点をつないだものです。
「ありの行列」では、次のようになりました。
①なぜ、ありの行列ができるのだろうか。
②ウィルソンという学者が実験とかんさつをした。
③ありの行列は、はじめのありが巣に帰るときに通った道すじから外れていない。
④ありの行列は行く手をさえぎってもまたできるし、帰るときの道すじも変わらない。
⑤ウィルソンは、はたらきありが地面に何か道しるべになるものをつけておいたのではないか、と考えた。
⑥ウィルソンは、はたらきありの体のしくみを研究した。
⑦ウィルソンは、ありの行列ができるわけを知った。
⑧はたらきありは、えさを見つけると、道しるべとして地面にえきをつけながら帰り、ほかのありたちは、においにそって歩く。
⑨ありは、においをたどって行ったり帰ったりするので、行列ができる。
今回は、これに「三段構成」を重ねてみます。
⑨ ⑧⑦⑥⑤④③② ①
「序論」には①段落が入り、ここには「問い」があります。
「本論」には②~⑧段落が入り、具体的な実験・観察について述べています。そのまとめが⑧段落になります。
「結論」には⑨段落が入り、「問い」に対する「答え」が書かれています。
さて、この文章の要約を短くまとめるとどうなるでしょう。テスト問題なら「○○字以内にまとめよ」、授業場面なら「○○秒以内で話せ」といった課題になります。
三段構成の各まとまりから代表を選びます。「序論」と「結論」は候補が1つですから、自ずと決定。「本論」は7つの候補がありますが、本論のまとめである⑧段落を選出。
できあがった要約文は、
「①なぜ、ありの行列ができるのだろうか。⑧はたらきありは、えさを見つけると、道しるべとして地面にえきをつけながら帰り、ほかのありたちは、においにそって歩く。
(このように)⑨ありは、においをたどって行ったり帰ったりするので、行列ができる。」
となります。
さらに短くするには、「本論」を省いて「問い」と「答え」だけにします。
「①なぜ、ありの行列ができるのだろうか⑨ありは、においをたどって行ったり帰ったりするので、行列ができる。」
さらに短くすると、究極の要約文は「結論」の⑨段落のみになります。これすなわち「要旨」なり。
こうした字数制限付き、秒数制限付きの要約文を自在に操れるようになること、それが「国語力を磨こう」シリーズの到達点です。