教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

極意伝(1)スピーチの極意①

学級の朝の会や帰りの会(終わりの会)の時間に、あるいは全校集会の時間に、スピーチ活動を取り入れている学校は多いと思います。

 

教師の思いは往々にして空回りするものです。

子どもたちからは、何を話せばいいかわからない、どう話せばいいかわからないという声がよく出ます。

そんな子どもの声を受けて、あるとき、「スピーチの極意」を作りました。

 

■スピーチの極意(その1)

 

入門編です。

 

①頭の中の材料を出す

話のネタ集めです。

まずは一斉指導。たとえばきのうのことを思い出して、話題を5つ(数は任意)書き出します。なかなか思い出せない子には個別にアドバイスをします。

書き出したネタの中から、みんなに一番知らせたい1つを選びます。

あとは、「ネタ帳」のようなものを習慣化するといいです。日記を書かせているクラスだったら、日記指導とリンクさせればなお効果的です。


②聞く人を意識する

スピーチをするときは、聞く人の顔(目)を見て話します。

これは、インタビューやプレゼンにも共通する基本の「き」です。ここは徹底します。

そのためには「原稿」や「メモ」に目を落とすのを極力減らす必要があります。


③悩んだらパターンを使う

話型をマスターして、話し方の引き出しを増やしてやることも大事です。私は、2つのパターンを教えていました。この2つの話型は汎用性があって結構使えます。

 

パターン1

(趣味が)2つあります。

1つ目は…で、2つ目は…です。 

 

指導にあたっては、下のようなひな形を用意して原稿を書かせました。

 

これから「友だち紹介」というテーマでスピーチをします。
ぼくは、   くんのいいところを三つ紹介したいと思います。
一つ目は、

 

二つ目は、


三つ目は、


 
みなさんは、このほかにどんないいところを知っていますか。
これで「友だち紹介」のスピーチを終わります。

 

 

パターン2

(気になっていることが)1つあります。

その理由は2つあります。

1つ目は…で、2つ目は…です。

 

 
④練習は自信を生む

 

スピーチに慣れるまではスピーチ原稿を書かせます。しかし、原稿を読んではスピーチになりませんから、原稿は持たせません。

不安な子どもにはスピーチメモを持たせます。

メモは通常、「はじめ」「なか」「おわり」を箇条書きにすることが多いです。しかし、私の経験上、原稿の段落はじめの言葉を書き写す方が実用的だと思います。原稿が5つの段落からなっているならば、5ワードをメモっておいて、確認と安心のために「チラ見」するように指導します。

最終的には、「保険」のために手のひらに収まる程度のメモを持つことは是として、聞き手から目線を外さないようにさせます。

ここで大事なのは、目線が泳がないことです。話に詰まったり、話の先に不安があると、下を向いたり目線が空をさまよったりします。その瞬間、聞き手は興ざめしてしまいます。メモの「チラ見」はそれを避けるための手段ですが、あくまで「保険」です。練習が十分な量であれば、「保険」は使わずに済みます。

練習が自信を生みます。