教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その2・地域の戦争を記録する①

「地域の戦争を記録する」では、2014年度6年生と2011年度6年生の2つの取り組みを紹介します。

 

2014年度6年生の記録

少年F ~最後の兵隊さん~ 〈1〉

 

2014年度の6年生は、校区在住の藤田一郎さん(当時85歳)から少年時代のお話を伺いました。

 

詳細は記録のなかで触れますが、藤田さんは1944(昭和19)年に14歳で「志願兵」となった校区で最も若い、そして校区で最後の兵隊さんでした。

 

藤田さんを教室に招いた日、私がインタビュー方式で問いかけ、藤田さんがそれに答えるというカタチで聞き取りを行いました。高齢だし、人前で話すのは苦手だという藤田さんの事情に配慮しての措置です。

お話が一通り終わって、そのあと子どもたちからの質問に答えていただきました。

 

聞き取りの様子はビデオに記録しました。

後日、録画の音声をもとにシナリオを作りました。そして、話の内容に合ったイラストを描き、ナレーション録音と合成して作品に仕上げていきました。

それが、「少年F ~最後の兵隊さん~」です。

 

 

「少年F ~最後の兵隊さん~」は、オープニングで来校時の藤田さんの写真が映し出され、「1929(昭和4)年6月15日生まれ 現在85歳」というテロップと荘厳なメロディーのBGMが静かに流れます。

そして、「柳条湖事件」の写真と「1931年、2歳の9月に満州事変が起こり」のテロップ、

日中戦争」の写真と「1937年、尋常小学校2年の7月には、日中戦争が始まっている。」のテロップ、

真珠湾攻撃」の写真と「さらに、1941年、6年生の12月には太平洋戦争に突入。」のテロップ、

終戦の日の新聞と写真」と玉音放送の音源、「1945年8月15日、日本敗戦の時は16歳だった。」のテロップとつづき、

画面が暗転して「藤田さんの少年時代は、日本の15年戦争の時代と完全に重なり合う。」という文字が流れていきます。

そのあとに「少年F ~最後の兵隊さん~」のタイトルが浮かんで、本編に入っていきます。