教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

日本語探訪(その1) 口上

子どもたちの豊かな言語生活は、教師の言語生活の豊かさに依拠します。

シリーズ「日本語探訪」は、故事成語・ことわざ・慣用句・四字熟語の周辺をそぞろ歩きします。

言葉を深く知り、自在に操れるようになれば、日本語の表現が豊かになります。そんな教師のコトバに日々触れる子どもは、きっと豊かな日本語の使い手になります。

 

 

さて、学習指導要領では、国語科の〔第3学年及び第4学年〕の中に次のような項目があります。

〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕
(1) 「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」及び「C読むこと」の指導を通して,次の事項について指導する。
ア 伝統的な言語文化に関する事項
(ア) 易しい文語調の短歌や俳句について,情景を思い浮かべたり,リズムを感じ取りながら音読や暗唱をしたりすること。
(イ) 長い間使われてきたことわざや慣用句,故事成語などの意味を知り,使うこと

 

これを受けて、3年生と4年生の国語教科書にはことわざや慣用句,故事成語が登場します。

1つ前の各社教科書が取り上げたものを合わせると、

ことわざは29、

慣用句は44+α(「ねこ」「かた」「きつね」「頭」「鼻」のつく慣用句を集めるというのがありました)

故事成語は13ありました。

四字熟語は、中学校の学習指導要領に登場します。しかし、あるホームページでは小学校の間に覚えたい四字熟語として200語程度を取り上げていました。

 

まあ少なくともその程度の語彙力がなければ、教師としては心許ないということです。そんな心配は不要でしょうが、中には痩せ細った知識があるかもしれません。そんなところにちょっとした蘊蓄を加えることができれば、などと目論んでいます。

 

以上、シリーズ開設の「口上」です。

 

今回のおまけは、「口上」。

口上とは、「口頭で申し述べること。また、その内容。」のことで、「あいさつの―を聞く」「逃げ―」といった使い方をします。(この稿で「口上」と使うのは、「口頭で申し述べる内容」原稿ではあっても、「口頭で申し述べ」ていませんから、厳密に言うと不適ですね)

また、口上には、「口のきき方。ものいい。」の意味もあって、「近頃の若者は口上がなっていない」などと使います。

口上の語源は歌舞伎にあります。「歌舞伎などの興行物で、出演者または劇場の代表者が、観客に対して舞台から述べるあいさつ」のことを「口上」と言ったのが言葉の由来です。