小学校のうちに知っておきたい故事成語の第46回は「大同小異」です。
大同小異
「大同小異」の読み方
だいどうしょうい
「大同小異」の意味
大体は同様であるが、小部分だけが異なっていること。大変似ていること。似たりよったり。(広辞苑)
「大同小異」の使い方
三時間目も四時間目も昼過ぎの一時間も大同小異であった。(夏目漱石『坊っちゃん』1906年)
「大同小異」の語源・由来
「大同小異」の出典は、『荘子(そうじ)』第3部「雑編」の第三十三(最後の項目)「天下」です。
所列惠施“历物十事”之第五事:“大同而与小同异,此之谓小同异;万物毕同毕异,此之谓大同异。”揭示事物同异关系的相对性,有其合理因素,但夸大这种相对性,从而否认“同”和“异”概念的确定性,把“同”和“异”合二为一,引申出事物之间不存在差别,“泛爱万物,天地一体”的相对主义结论。
大同而与小同異、此之謂小同異。万物畢同畢異、此之謂大同異。
【現代語訳】
世の中には大同にして小同と異なるものがあり、これを小同異という。これに反して万物ことごとく同じく、ことごとく異なるものがあってこれを大同異という。
「中国語スクリプト」の解説です。
「小さな同異」というのは、物事を大きく見て、その中のささいな部分が同じだったり異なったりしていること。「大きな同異」というのは、万物において、普遍的な意味ではみな同じで、個別的なものでみな異なるが、こうした同異のこと。なんだかよく意味のわからない哲学的な文ですが、故事成語「大同小異」は「似たり寄ったり」という意味です。
わかりにくい哲学書なので、一つ一つを解説すると、
ここで言う「大同」とは「大きな全体の中では同じ」ということ。
「小同異」とは「小さな部分が同じだったり異なったりしていること」
「万物がことごとく同じ」というのは「普遍的なものとしては同じ」ということ。
「ことごとく異なる」というのは「個別的には異なる」ということ。
「大同異」というのは「万物が普遍的なものとしては同じだが、個別的なものとしては異なる」ということ。
「大同小異」の蘊蓄
「中国語スクリプト」の記事です。
「大同小異」の関連語……「小異を捨てて大同につく」
「大同小異」から派生した故事成語・ことわざに“求大同,存小异 qiú dàtóng, cún xiǎoyì”(大同を求めて小異を残す)というのがあります。意見の対立がある時小さな違いは置いておいて同じ方向性でまとまろうという考えです。
面白いことにこの故事成語・ことわざを日本では「小異を捨てて大同につく」と言います。
中国で意見の違いは一応取っておくのですが、日本では捨ててしまうのです。残すと捨てる、単語一つの違いですが、同じことわざが中国にもあると思って安易に使うと危険です。後で問題が起きた時、日本人は「あの時それはお互い捨てたでしょ」と思っていますが、中国人は「捨てていないよ、棚上げしただけだよ」と思っています。たかが1字、されど1字です。