教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

日本語探訪(その15) 慣用句「腕を上げる」

小学校3・4年生の教科書に登場する慣用句の第6回は「腕を上げる」です。

教科書の表記は「うでを上げる」です。

 

腕を上げる

 

「腕を上げる」の読み方

うでをあげる

 

「腕を上げる」の意味

① 技術が上達する。腕前を進歩させる。

② 飲める酒の量が、前より多くなる。(精選版 日本国語大辞典

 

「腕を上げる」の使い方

 

 「十七の歳鉄砲鍛冶になって、わづか二年ばかりの間に驚くほど腕(ウデ)を上(ア)げて」(尾崎紅葉『二人女房』)

 

「腕を上げる」の語源・由来

 

 「腕」には次のような意味があります。(広辞苑

➊手の部分。
①ひじと手首との間。〈倭名類聚鈔3〉
②肩口から手首までの部分。かいな。
➋腕に宿る力。腕力。転じて、腕前。技量。武芸のたくみさ、職人などの技術などにいう。「―に覚えがある」「―がいい」
➌人間の腕に形などが似たもの。
①腕木。腕かけ。
②下等動物の、物をつかむ働きをする器官。ヒトデの腕など。

また、「上げる」には次のような意味があります。(広辞苑

➋価値・資格・程度・勢いなどを高める。
④技能などを高度にする。上達させる。日葡辞書「ガクモンナドノイロヲアグル」。「腕を―・げる」

「腕を上げる」は、「腕に宿る力」という「腕」の含意がもとになっているということになります。

 

「腕を上げる」の蘊蓄

「腕を上げる」と同じく「武芸のたくみさ、職人などの技術など」の意味をもつ「腕」のつく慣用句

腕が立つ
腕が鳴る
腕に覚えがある
腕に縒をかける(うでによりをかける)
腕をさする
腕を撫す(うでをぶす)
腕を振るう