教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

日本語探訪(その41) 慣用句「首を長くする」

小学校3・4年生の教科書に登場する慣用句の第16回は「首を長くする」です。

 

首を長くする

 

「首を長くする」の読み方

くびをながくする 

 

「首を長くする」の意味

物事が早く実現することを待ちこがれることのたとえ。首を延ばす。(広辞苑

 

「首を長くする」の使い方

 厳しい寒さが続く中、人々は、春の訪れを首を長くして待っていた。

 

「首を長くする」の語源・由来

「首を長くする」の語源は、遠くを見て待つ人の様子だとされています。その元は類語「延頸挙踵(えんけいきょしょう)」にあると思われます。 

「延頸挙踵」は、「頸を延べ踵を挙ぐ(くびをのべかかとをあぐ)」と読みます。首を長く伸ばし、 爪先で立って待つという意味で、転じて、傑出した人物や絶好の時期の到来を待ち望むことを意味します。

「延頸挙踵」の語源は、『呂氏春秋(りょししゅんじゅう)』(紀元前239年)の「精通」 にあります。

人或謂兔絲無根。兔絲非無根也,其根不屬也,伏苓是。慈石召鐵,或引之也。樹相近而靡,或軵之也。聖人南面而立,以愛利民為心,號令未出而天下皆延頸舉踵矣,則精通乎民也。夫賊害於人,人亦然。

 

「首を長くする」の蘊蓄

「首」の付く慣用句

首が危ない
首が繋がる
首が飛ぶ
首が回らない
首にする
首になる
首に縄を付ける
首の皮一枚
首の座に直る
首をあげる
首を賭ける(くびをかける)
首を傾げる(くびをかしげる
首を切る
首を括る(くびをくくる)
首を挿げ替える(くびをすげかえる)
首を縦に振る
首を突っ込む
首を刎ねる(くびをはねる)
首を捻る(くびをひねる)
首を横に振る
鬼の首を取ったよう
鎌首をもたげる
雁首を揃える
首根っ子を押さえる
首振り三年、ころ八年
小首をかしげる
小首を傾ける
思案投げ首
首尾よく
寝首を掻く
真綿で首を締める