小学校3・4年生の教科書に登場する慣用句の第23回は「涙を呑む」です。教科書の表記は、「なみだをのむ」となっています。
涙を呑む
「涙を呑む」の読み方
なみだをのむ
「涙を呑む」の意味
①泣きたいのを泣かずにこらえる。
②泣きたくなるような経験をする。多く勝負に敗れた時に用いる。(広辞苑)
「涙を呑む」の使い方
わずかの差で涙を呑んだ。
「涙を呑む」の語源・由来
「呑む」には、「こらえておもてに出さない」 (広辞苑)という意味があります。「声を呑んで泣く」「恨みを呑む」のように使います。
「涙を呑む」もこれらと同じ用法で、「涙をこらえておもてに出さない」という意味になります。
「涙を呑む」は、「涙を飲む」と表記しても差し支えありません。
「涙を呑む」の蘊蓄
「呑む」の蘊蓄
「呑む」には「こらえておもてに出さない」以外にも多くの意味があります。
以下、広辞苑より引きます。
①口に入れて噛かまずに食道の方に送りこむ。喉のどに流しこむ。特に、酒を飲む。
万葉集20「わが妻はいたく恋ひらし―・む水に影かごさへ見えて世に忘られず」。
天草本平家物語「この茶を―・うで息をついで、まちつとお語りあれ」。
仁勢物語「舞ふつ歌ふつ―・みけるを、思ひの外に御烏帽子も落ちてける」。
「―・む相手を探す」「薬を―・む」
②吸い込む。吸う。
東海道中膝栗毛初「日の短い時にやあ煙草を―・まずにゐにやあならねへ」。
「思わず息を―・む」
③こらえておもてに出さない。
「声を―・んで泣く」「恨みを―・む」
④圧倒する。また、見くびる。
好色一代女1「其の男、大夫に気を―・まれ」。
「敵を―・む」「雰囲気に―・まれる」
⑤うけいれる。
「清濁併せ―・む」「組合の要求を―・む」
⑥姿を包み込んで見えなくする。
「濁流が人を―・む」「人込みに―・まれる」
⑦収める。隠し持つ。
「懐に短刀を―・む」