教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

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教員免許更新制廃止、そして… ①玉虫色の「発展的解消」

教員免許更新制廃止、そして… 

① 玉虫色の「発展的解消」

 

この稿は、「教員免許更新制」廃止決定(2021.8.24)の続編になります。

 

去る8月23日、中央教育審議会の「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会に設置されている教員免許更新制小委員会の第5回会議が開催されました。

 

その会議において、教員免許更新制の「廃止」が決まりました。私の8月24日の記事はそのニュースを紹介し、「今回はニュース記事のみとします。検証記事は日を改めて書く予定です。」と結んでいます。

文科省は、審議会の会議後に当日の「配付資料」と「議事録」を公開します。8月23日の分の公開は、会議のおよそ1カ月後でした。

 

8月23日の中央教育審議会「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会教員免許更新制小委員会は、WEB会議(Webex利用)形式で行われました。開催時間は15時00分~17時00分の予定でしたが、司会の加治佐主査が「少し早いんですが終わりたいと思います」と述べていますから、2時間以内の会議だったようです。

 

この日の議題は、「審議まとめ(案)」についてです。

配付された資料は次のとおり。

議事次第
資料1 審議まとめ(案)
参考資料1-1 令和3年度「免許更新制高度化のための調査研究事業」(概要)
参考資料1-2 令和3年度「免許更新制高度化のための調査研究事業」(本体)
参考資料2-1 令和2年度「免許更新制高度化のための調査研究事業」アンケート概要 
参考資料2-2 令和2年度「免許更新制高度化のための調査研究事業」報告書
参考資料3  教員研修履歴の管理等に関する調査結果 
参考資料4  教員免許更新制小委員会(第1~3回)における委員からの主なご意見

会議の前半は平野教員免許企画室長が、配付資料をもとに説明を行いました。

その後、10人の委員が発言をしています。いくつかの質問には加治佐主査と平野教員免許企画室長が答えていますが、あとは感想・意見でほぼ一方通行です。熟議の場面は確認できませんでした。

 

それでは「資料1 審議まとめ(案)」を紹介します。

9月27日の「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会(第4回)・教員免許更新制小委員会(第6回)合同会議(WEB会議) において、「審議まとめ(案)」は再度検討されています。8月23日のものとは若干の変更があると思われます。

 

「『令和の日本型学校教育』を担う新たな教師の学びの姿の実現に向けて 審議まとめ(案) 」の結論部分です。

Ⅴ.「新たな教師の学びの姿」と教員免許更新制 

(教員免許更新制の発展的解消)

(略) 
よって、本部会としては、「新たな教師の学びの姿」を実現するための方策を講ずることにより、教員免許更新制が制度的に担保してきたものは総じて代替できる状況が生じること教員免許更新制は、「新たな教師の学びの姿」を実現する上で、阻害要因となると考えざるを得ないこと教員免許更新制の課題の解決を直ちに図ることは困難であることを踏まえ、必要な教師数の確保とその資質能力の確保を将来にわたって実現するとともに、教師一人一人が、持続可能な学校教育の中で、自らの人間性や創造性を高め、教師自身のウェルビーイング(Well-being)を実現し、子供たちに対してより効果的な教育活動を行うことができるようにするためにも、「新たな教師の学びの姿」の実現に向けて、教員免許更新制を発展的に解消することを文部科学省において検討することが適当であると考える。また、この措置のタイミングについては、Ⅳ.2.の「新たな教師の学びの姿」を実現するための当面の方策の実施と同時であることが適当である。その際、既に授与された教員免許の有効期間の在り方等については、文部科学省において法制的な観点から検討を深めていく必要がある。教員免許更新制を発展的に解消し「新たな教師の学びの姿」を実現することにより、教師の専門職性の高度化が進んでいくことが期待される。

 

結論は、

教員免許更新制を発展的に解消することを文部科学省において検討することが適当であると考える

です。

更新制」を「解消」するということは、制度の廃止を意味します。「解消」というソフトな言い回しは、1つには制度を推進してきた人たちへの「忖度」もあるでしょうが、実は別の思惑がありそうです。

それを考えるヒントは、「解消」の理由にあります。

「新たな教師の学びの姿」を実現するための方策を講ずることにより、教員免許更新制が制度的に担保してきたものは総じて代替できる状況が生じること

教員免許更新制は、「新たな教師の学びの姿」を実現する上で、阻害要因となると考えざるを得ないこと

教員免許更新制の課題の解決を直ちに図ることは困難であること

 

「審議まとめ(案)」が挙げている「解消」の理由のなかで、更新制をやめる直接の理由は「教員免許更新制の課題の解決を直ちに図ることは困難である」ということに尽きます。「教員免許更新制の課題」というのは、教員の負担の問題や、臨時教員の不足などを指します。--これが萩生田文科大臣の「見直し」発言の背景であり、教員免許更新制小委員会が設置された所以でもあります。

再作文すれば、「教員免許更新制の課題の解決を直ちに図ることは困難であるため、教員免許更新制は廃止します。」です。この文脈において「廃止」ではなく「解消」と書くのは、「忖度」を思わせます。

 

しかし別の文脈において、忖度でも何でもない「思惑」が読み取れます。

曰く、

「新たな教師の学びの姿」を実現するための方策を講ずることにより、教員免許更新制が制度的に担保してきたものは総じて代替できるし、それどころか教員免許更新制は、「新たな教師の学びの姿」を実現する上で、阻害要因となると考えざるを得ない」ので、「新たな教師の学びの姿」の実現に向けて、教員免許更新制を発展的に解消することを文部科学省において検討することが適当であると考える

というのです。

つまり、「新たな教師の学びの姿」を実現するため教員免許更新制をやめにしようと言っているのです。ことの発端とはまったく別物を理由として、それの邪魔を「解消」しようという筋立てです。

 

結果として教員免許更新制がなくなるという点では、どちらも同じです。

果たして同じことなんでしょうか。

次回、を掘り下げて検証します。