小学校のうちに知っておきたい故事成語の第42回は「食指が動く」です。
食指が動く
「食指が動く」の読み方
しょくしがうごく
「食指が動く」の意味
食欲が起こる。転じて、物事を求める心が起こる。(広辞苑)
「食指が動く」の使い方
原は貧乏士族の娘で堅気であったのだが、老猾(ろうかつ)この娘を見ると食指大いに動いた訳で…(尾崎紅葉『金色夜叉』1897~98年)
「食指が動く」の語源・由来
「食指が動く」の出典は、『春秋左氏伝(しゅんじゅうさしでん)』です。
楚人献黿於鄭霊公。公子宋与子家、将入見。子公之食指動。以示子家曰、他日、我如此、必嘗異味。及入、宰夫将解黿。
【読み下し文】
楚人、鄭(てい)の霊公に黿(げん)を献ず。公子宋と子家、将(まさ)に入りて見えんとす。子公の食指動く。以って子家に示し曰(いわ)く、「他日、我此(かく)の如く、必ず異味を嘗(しょう)ぜん。」入るに及びて、宰夫将に黿を解せんとす。
【現代語訳】
楚の人が、鄭の霊公にすっぽんを献上しました。公子(貴族の子)である子公と子家が、ちょうどそのとき霊公の屋敷を訪れようとしていました。その時子公の人差し指がぴくりと動いたので、子公は子家にそれを示してこう言いました。「私の人差し指がこうなる時は必ず珍味にありつけるんだ」。二人が霊公の屋敷に入ると料理人がちょうどすっぽんをさばいているところでした。
「食指が動く」の蘊蓄
中国語の指の名前を紹介しましょう。
(日本語) 親指 (中国語) 大拇指
人差し指 食指
中指 中指
薬指 无名指
小指 小指
中国語で人差し指を「食指」と呼ぶのは、食べ物をつかむ時必ず使う指だからだそうです。无名指は「名無しの指」という意味です。