教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

歴史教育の周辺(番外) 「2.26事件」歴史の証人

きょう2月26日は、「2.26事件」の起こった日です。

 

朝日新聞の読者投書欄「声」に、次の1文が載っていました。

 

2022.2.26 朝日新聞「声」

2・26事件で首相を発見した父
                    無職 福島 宣行 (群馬県 72)

 「今日は2月26日だね」「ああ、そういえば……」。毎年この日が来るとわが家では、そんな会話が家族誰からともなく交わされた。1936 (昭和11)年2月26日は、世に言う2・26事件の発生した日だ。
 父・篠田惣寿は23歳で、麴町憲兵分隊に勤務する上等兵だった。 当日未明、青柳利之軍曹と共に反乱軍にまぎれ首相官邸に潜りこんだ父は、女中部屋の押し入れに潜んでいた岡田啓介首相を発見した。「首相生存」の情報を直接の上司である小坂慶助曹長に伝えるため、反乱軍の隙をかいくぐって父が隊に帰着した時は、すでに午後になっていたという。分隊長はただ様子を見ようとしていたが、小坂曹長は父が命がけで持ち帰った情報をもとに救出作戦に加わり、無事に首相を官邸から脱出させた。
 2・26事件は4日間で鎮圧されたが、暴力が言論の自由をはじめとする国民の権利を封殺し、大戦争への道を開くきっかけとなったことは歴史の示す通りだ。ミャンマーで軍のクーデターが起こってから、1年が経過した。権力を持つ者は、暴力では国民を幸せにできないことを知るべきだ。

 

急ぎ半藤一利さんの『昭和史』を繰りましたが、岡田首相脱出に関するくだりはありませんでした。

事件から86年も経てば、そのとき現場に居合わせた当事者はご存命ではないでしょう。当事者が父だという福島さんの投書は貴重です。遠くなった昭和の事件をたぐり寄せつつ、歴史の教訓に深く学びたいものです。