世界遺産とは、1972年のユネスコ総会で採択された「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」(世界遺産条約)に基づいて世界遺産リストに登録された、文化財、景観、自然など、人類が共有すべき「顕著な普遍的価値」を持つ物件です。
日本の世界遺産は2021年現在で25件ありますが、その最初が1993年に登録された4件でした。
1 法隆寺地域の仏教建造物 奈良県 文化遺産
2 姫路城 兵庫県 文化遺産
3 屋久島 鹿児島県 自然遺産
4 白神山地 青森県・秋田県 自然遺産
法隆寺は、世界遺産のうちの「文化遺産」に分類されます。「世界文化遺産」という言い方をされることもあります。
第一条
この条約の適用上、「文化遺産」とは、次のものをいう。
記念工作物
建築物、記念的意義を有する彫刻及び絵画、考古学的な性質の物件及び構造
物、金石文、洞穴住居並びにこれらの物件の組合せであって歴史上、芸術上又
は学術上顕著な普遍的価値を有するもの
建造物群
独立し又は連続した建造物の群であって、その建築様式、均質性又は景観内
の位置のために、歴史上、芸術上又は学術上顕著な普遍的価値を有するもの
遺跡
人工の所産(自然と結合したものを含む。)及び考古学的遺跡を含む区域であ
って、歴史上、芸術上、民俗学上又は人類学上顕著な普遍的価値を有するもの
実際に世界遺産に登録されるには、「登録基準」を満たしていることが必要になります。(「文化遺産」該当項目のみ、日本ユネスコ協会連盟HPより引用)
(i)
人間の創造的才能を表す傑作である。
(ii)
建築、科学技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展に重要な影響を与えた、ある期間にわたる価値観の交流又はある文化圏内での価値観の交流を示すものである。
(iii)
現存するか消滅しているかにかかわらず、ある文化的伝統又は文明の存在を伝承する物証として無二の存在(少なくとも希有な存在)である。
(iv)
歴史上の重要な段階を物語る建築物、その集合体、科学技術の集合体、あるいは景観を代表する顕著な見本である。
(v)
あるひとつの文化(または複数の文化)を特徴づけるような伝統的居住形態若しくは陸上・海上の土地利用形態を代表する顕著な見本である。又は、人類と環境とのふれあいを代表する顕著な見本である(特に不可逆的な変化によりその存続が危ぶまれているもの)
(vi)
顕著な普遍的価値を有する出来事(行事)、生きた伝統、思想、信仰、芸術的作品、あるいは文学的作品と直接または実質的関連がある(この基準は他の基準とあわせて用いられることが望ましい)。
具体的には、
(i) 法隆寺の建造物群が、木造建築としての構造・配置両観点から傑作である。
(ii)同建造物群が仏教伝来直後の仏教建築物で、日本の宗教建築に深い影響を及ぼした。
(iv) 同建築物群は、中国文化への順応、日本の寺院建築の配置、および、結果的に日本独特の様式を確立した代表的な例である。
(vi) 日本への仏教の流入、および聖徳太子の仏教奨励が、同地域への仏教の浸透に際立った特徴を示している。
というのが、登録理由になっています。
なお、「法隆寺地域の仏教建造物」には、法隆寺の構造物47棟と法起寺の三重塔が構成資産に登録されています。
法隆寺五重塔は、「法隆寺地域の仏教建造物」48棟の1つです。その1つを通して、法隆寺が世界遺産に登録された理由のなかみに迫りたいと思います。