5月7日 世界エイズ孤児デー
「世界エイズ孤児デー」は、エイズ孤児問題への意識を高めることを目的に、2002年(平成14年)にアメリカ・ニューヨークで開催された国連子ども特別総会において制定されました。英語表記は「World AIDS Orphans Day」。
以下、エイズ孤児を支える国際協力NGO「PLAS(プラス)」のHPより引用します。
エイズ孤児とは?
世界のエイズ孤児、その数1,220万人
AIDS orphan(「エイズ孤児」)とは、「エイズによって片親もしくは両親を失った18歳未満の子ども」をいいます。日本語で孤児という言葉は両親を失った子どもを一般的にさすので、「遺児」と置き換えた方が私たちの感覚に近くなるのかもしれません。
また、すべてのエイズ孤児がHIV陽性であるように思われるかもしれませんが、母子感染などにより親から感染している可能性はあるものの必ずしも感染しているとは限りません。UNAIDS(国連合同エイズ計画)によると、エイズ孤児は全世界に1,220万人いるとされています。
うち、多くがサハラ砂漠の以南のアフリカ地域におり、PLASが活動するケニア・ウガンダのエイズ孤児の数は各国50万人以上にのぼると推計されています。※UNAIDSの統計(2018年7月発表)より。推計値には幅があり、大きく見積もられた人数は1,560万人となっています。
複雑な問題
では、エイズ孤児の何が問題なのでしょうか。感染による健康上の問題はもちろん、大きな問題の一つには偏見と差別が挙げられます。
本人の感染にかかわらず、親がエイズで亡くなったことで差別を受け、引き取り手が現れず行き場を失ったり、自尊心を持てず精神的な不安定を抱えるエイズ孤児が多くいます。また、子どもの学校中退という根深い問題もあります。
治療薬の普及によって両親を失うケースより片親を失うケースのエイズ孤児の割合が増加傾向にありますが、その場合、稼ぎ手を失って家庭が貧困に陥ることで学校に通い続けることが困難となってしまうのです。ウガンダでは小学校教育は原則無償化とされていますが、実際は制服代や進級テスト代を家庭が負担しなくてはいけません。これを払うことができず、小学校を中退する子供は2人に1人とも言われています。
そして学習機会を逸失したまま大人となり、今度はこれによって就業機会を得られず、貧困の連鎖に陥る―このように、エイズ孤児の問題は様々なことが複雑にからみあっているのです。
人権の課題としては異なりますが、部落差別に起因するかつての「貧困の連鎖」と構造としては同じです。決して遠くの問題ではありません。