教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

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「旭川女子中学生いじめ凍死事件」を対岸の火事にしない①

旭川女子中学生いじめ凍死事件」

 

旭川女子中学生いじめ凍死事件」について、市教育委員会の第三者委員会が最終報告書を公表しました。

 

「NHK NEWS WEB」の記事です。

中2女子死亡で第三者委の最終報告書公表

市長は再調査を表明


2022年09月20日 18時26分

 

去年、旭川市の公園で女子中学生が死亡しているのが見つかり、いじめが認定された問題で、市教育委員会の第三者委員会がとりまとめた最終報告書がきょう公表されました。旭川市今津寛介市長は、遺族側が内容を不服として再調査を求めていることを踏まえ、新たに市の第三者委員会を設置して再調査を行う方針を明らかにしました。

 

去年3月、旭川市の中学2年生だった廣瀬爽彩さん(当時14)が雪の積もった市内の公園で死亡しているのが見つかり、市の教育委員会は第三者委員会が今月とりまとめた最終報告書を20日、市議会で公表しました。
報告書はおよそ160ページで一部が黒塗りとなっていて、ことし4月の中間報告と同じく、爽彩さんに対して複数の上級生が菓子や飲み物の代金を頻繁におごらせたり、性的な動画送信を求め続けたりした行為などをいじめと認定しています。
法律ではいじめの定義について、「対象となった児童などが心身の苦痛を感じているもの」としていますが、報告書では「精神的苦痛が認められる行為であるとしても一律にいじめとして対処することは適切ではない」とした上で、「社会通念上の意味合いも考慮して事実の認定を行った」と異なる見解を示しています。
また、爽彩さんが亡くなったいきさつについては、直前に「今日死のうと思う」とSNSでメッセージを送っていたことなどから、「自殺と考えられる」とする見解を示しています。
そして、その背景には抑うつ状態が関係しその原因にはいじめや、学校での不適応に伴う孤独感の増大などが関係していると思われるとしていますが、死亡といじめとの関連性については、「結局は不明のままである」と明確な判断を示していません。
一方、当時の中学校の対応については、爽彩さんがからかわれるなどしたあと、雨で増水した川に入った2019年6月の時点で、いじめの「重大事態」として市の教育委員会に報告する必要があったとして、「対応は明らかに誤りであった」と指摘しています。
さらに、市教育委員会の対応については、「重大事態」としての報告を学校側に働きかけることを怠ったとした上で、「いじめ問題に関する指導を根本的に改めず、しかるべき対応をしてこなかった歴代の市教委の組織の怠慢がもたらした」と厳しく非難しています。
最終報告書を公表した市教育委員会の黒蕨真一教育長は「調査結果を重く受け止め、教育委員会および学校の対応を深く反省をし、ご遺族はもとより、市民の皆様に心からおわびを申し上げます」と謝罪しました。
旭川市の今津市長は、遺族側が最終報告書の内容を不服として再調査を求めていることを踏まえ、「事態の真相解明のためにはさらなる検証の必要性を感じることから、強い意志を持って再調査を実施する」と述べ、新たに市の第三者委員会を設置して再調査を行う方針を明らかにしました。
関係者によりますと、新たに設置する第三者委員会は弁護士や医師などで構成し、今後、これまで行われた調査を改めて検討するということです。

 

【遺族側の「所見書」も概要公表】
旭川市教育委員会の第三者委員会がとりまとめた最終報告書について、今月12日、遺族側が内容を不服として再調査を求める「所見書」を市長や市教育委員会に提出し、20日、概要が公表されました。
この中で、最終報告書で示されたいじめの定義の見解について、「定義は被害者救済のため『精神的苦痛』を要件として一貫して拡張されてきた。定義を縮小、限定解釈したことで、本来であれば認定されるべきいじめが認定されず、調査結果から除外された可能性が極めて高く、調査結果の信頼性、信用性にも重大な影響を及ぼす」と指摘しています。
また、第三者委員会が生徒などを対象に行ったアンケート調査の結果で爽彩さんが学校や教室内で無視や仲間はずれをされていたことなどが報告されていたものの、いじめと認定されなかったことについて、「被害者の精神的苦痛を無視した結論であり、到底看過できない過誤を含んでいる」と批判しています。
また、最終報告書で死亡といじめとの関連性に明確な判断を示していないことについて、「明らかな判断の回避だ」とした上で、▼背景として挙げられた「抑うつ状態」には医学的根拠が示されておらず、▼また、いじめが長期間にわたって心身に与える影響や、▼診断を受けたPTSD=心的外傷後ストレス障害などとの関連性について、専門的な知見による検証がなされていないとしています。
こうした点から「調査はあまりにも不十分」と結論づけ、改めて法律のいじめの定義にのっとったうえで、いじめの認定や自殺との関連性などについて再調査や検証を求めています。

 

「事件」の経緯については、「Wikipedia」のまとめ記事を参照してください。

ja.wikipedia.org

 

Wikipedia」の記事がほぼ事実であるとすれば(学校関係者の証言が得られていませんので、真偽の確証がありません。もっとも学校関係者の証言は「弁解」「言い訳」ですし、過去の例からしても平気でウソを言います。若干の偏りがあるとしても、「ほぼ事実」と考えていいのだろうと思います。)、こんな学校が実在するのかと無念でなりません。

実のところ、第三者委員会の最終報告書にも相当怒っています。

この稿のタイトルは「『旭川女子中学生いじめ凍死事件』を対岸の火事にしない」としています。しかし、自死以降の経緯には反面教師としてすら何ら学ぶところはありません。

他山の石とすべきは、それよりずっと前の部分にあります。

次回、詳述します。