教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

きょうは何の日 3月31日

教育基本法・学校教育法公布の日

 

1947(昭和22)年3月31日、「教育基本法」と「学校教育法」が公布されました。

教育基本法は同3月31日に、学校教育法は翌4月1日に施行されました。

 

教育基本法は日本の教育に関する根本的・基礎的な法律であり、学校教育法は日本の学校教育制度の根幹を定める法律です。

 

日本の教育に関する根本的・基礎的な法律

教育基本法制定前》

教育ニ関スル勅語教育勅語

朕󠄁惟フニ我カ皇祖皇宗國ヲ肇󠄁ムルコト宏遠󠄁ニ德ヲ樹ツルコト深厚ナリ我カ臣民克ク忠ニ克ク孝ニ億兆心ヲ一ニシテ世世厥ノ美ヲ濟セルハ此レ我カ國體ノ精華ニシテ敎育ノ淵源亦實ニ此ニ存ス爾臣民父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦󠄁相和シ朋友相信シ恭儉己レヲ持シ博󠄁愛衆ニ及󠄁ホシ學ヲ修メ業ヲ習󠄁ヒ以テ智能ヲ啓󠄁發シ德器󠄁ヲ成就シ進󠄁テ公󠄁益󠄁ヲ廣メ世務ヲ開キ常ニ國憲ヲ重シ國法ニ遵󠄁ヒ一旦緩󠄁急󠄁アレハ義勇󠄁公󠄁ニ奉シ以テ天壤無窮󠄁ノ皇運󠄁ヲ扶翼󠄂スヘシ是ノ如キハ獨リ朕󠄁カ忠良ノ臣民タルノミナラス又󠄂以テ爾祖󠄁先ノ遺󠄁風ヲ顯彰スルニ足ラン
斯ノ道󠄁ハ實ニ我カ皇祖皇宗ノ遺󠄁訓ニシテ子孫臣民ノ俱ニ遵󠄁守スヘキ所󠄁之ヲ古今ニ通󠄁シテ謬ラス之ヲ中外ニ施シテ悖ラス朕󠄁爾臣民ト俱ニ拳󠄁拳󠄁服󠄁膺シテ咸其德ヲ一ニセンコトヲ庶󠄂幾󠄁フ

明治二十三年十月三十日
御名御璽

 

 1890年10月、日本の教育の基本理念として発布された勅語天皇のことば・天皇が臣民にたいして発表した意思表示)。1948年、国会でその失効が確認されるまで、日本の教育政策や教育内容のありかたを規制してきました。
 教育勅語は、天皇への忠義と、親への孝行を道徳の基本とし「一旦緩急アレバ義勇公ニ奉シ」として、いったん戦争が起これば命を投げ出して天皇のために戦うことを国民に強要し、天皇を絶対的な主権者とした国家への忠誠を国民に誓わせるものでした。

(「読谷バーチャル平和資料館」HPより)

 

《1947年》

教育基本法(昭和22年法律第25号)

前文 

  われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。
  われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない。
  ここに、日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する。


第1条(教育の目的)
  教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。


第2条(教育の方針)
 教育の目的は、あらゆる機会に、あらゆる場所において実現されなければならない。この目的を達成するためには、学問の自由を尊重し、実際生活に即し、自発的精神を養い、自他の敬愛と協力によつて、文化の創造と発展に貢献するように努めなければならない。

 

《2006年》

教育基本法(平成18年法律第120号)

前文

  我々日本国民は、たゆまぬ努力によって築いてきた民主的で文化的な国家を更に発展させるとともに、世界の平和と人類の福祉の向上に貢献することを願うものである。
  我々は、この理想を実現するため、個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進する。
  ここに、我々は、日本国憲法の精神にのっとり、我が国の未来を切り拓く教育の基本を確立し、その振興を図るため、この法律を制定する。


第1章 教育の目的及び理念

(教育の目的)
第1条 教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。


(教育の目標)
第2条 教育は、その目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。
  一 幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと。
  二 個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。
  三 正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。
  四 生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと。
  五 伝統と文化を尊重、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。

 

 

本の学校教育制度の根幹を定める法律

《学校教育法制定前》

           「Wikipedia」所収「日本の学校制度の変遷」より

 

学校制度(学制)は、「小学校令」「中学校令」「実業学校令」「師範学校令」などで定められていました。

小学校令は、近代日本の初等教育制度について定めた、次の2つの勅令である。

 

小学校令(明治19年4月10日勅令第14号) - 1886年に制定された勅令。第一次小学校令。いわゆる「学校令」の一つ。

小学校令(明治23年10月7日勅令第215号) - 第一次小学校令を廃止し、新たに1890年に制定された勅令。第二次小学校令。1900年の全部改正(明治33年8月20日勅令第344号、第三次小学校令)を経て、1941年に国民学校令(昭和16年3月1日勅令第148号)に改題の上、全部改正された。

              (「Wikipedia」の「小学校令」より)

 

小学校の修業年限の変遷(「Wikipedia」の「小学校令」「国民学校令」をもとに編集)

1886年

第一次小学校令明治19年4月10日勅令第14号)
・小学校を尋常小学校(修業年限4か年)と高等小学校(修業年限4か年)の2段階とする。
・就学義務の学齢は6歳(尋常小学校入学時点)から14歳(高等小学校卒業時点)に至る8年。
尋常小学校修了までの4年以内を義務教育期間とする。

1890年

第二次小学校令明治23年10月7日勅令第215号)
・義務教育である尋常小学校の修業年限を3年または4年とする。
・高等小学校の修業年限を2年、3年または4年とする。

1907年

第三次小学校令(明治33年8月20日勅令第344号)
小学校令中改正ノ件」(明治40年3月21日勅令第52号)
・義務教育期間、つまり尋常小学校の修業年限が2年延長して、6年間とする。

 (高等小学校の旧1・2年が尋常小学校の新5・6年とする)

1941年

国民学校昭和16年3月1日勅令第148号)
国民学校
 ・初等科
  ・旧尋常小学校
  ・修業年限を6年とする。
 ・高等科
  ・旧高等小学校
  ・修業年限を2年とする。

 

《1947年》

学校教育法

学校教育法は、日本国憲法制定後の議会であった第92回帝国議会によって教育基本法などとともに制定された。法令番号は昭和22年法律第26号、1947年(昭和22年)3月31日に公布、翌4月1日から施行された。

学校教育法で、指定された学校の種類(学校種)は第二次大戦後における教育改革の姿勢と方向付けを如実に示している。ただし、学校教育法に言及されていない教育の場も少なくない。学校教育法は、小学校6年、中学校3年、高等学校3年、大学4年、幼稚園、高等専門学校5年、中等教育学校義務教育学校、特別支援学校(以上一条校)のほか、専修学校各種学校などについても定めている。教科用図書検定についての規定も盛り込まれている。

              (「Wikipedia」の「学校教育法」より)

学校教育法はこれまで30回以上改正されていますが、「6-3-3-4制」を基本とする単線型学校体系は変わっていません。