「教壇に立つ前に」の続編になります。
授業の現場に立つ前に、国語力を磨くための学び直しを是非やっておきましょう。
その前に、なぜ国語力なのかということについて触れておきたいと思います。
教育委員会が実施する初任者研修や経年研修には、教員の国語力あるいは日本語指導力を高めるプログラムがありません。ICTや英語などでは、悉皆研修(全員義務参加の研修)を行う教委もあるのに…。
なぜ日本語指導の基礎を学ぶ悉皆研修はないのでしょうか。答えは明白です。教育委員会にも教員自身にも、日本語は母語として毎日使っているから指導できるという前提があるからです。ところが、私の知る限りにおいて、この前提はかなり怪しいと言わざるを得ません。
小学校で受けた説明文教材の授業が楽しかった、好きだったという人はどれほどいるでしょう。科学読み物が好きだった人でも、授業はつまらなかったという人が案外多いです。なぜか。教師が何をどう指導すればいいのか分からなかった、つまり授業が拙かったからです。
2003年のPISAショック(詳細は別の機会に書きます)以降、求められている学力とは論理力(これについても別の機会に書きます)です。論理的思考力・論理的表現力の基礎となる力は、国語科の説明的文章の授業に負うところが大きいです。私の経験で言えば、国語科で身に付けた論理的な力は、算数の文章題やその他の教科の学習に大いに役立つものです。さらに、アクティブラーニングが本格的に導入されれば、論理力はいっそう重要になります。
つまり、国語力を磨くことは、教師力を磨くことでもあるのです。
しかるに、教師の国語力は…。
兎にも角にも、まずはトライしてみてください。
テキストには下村昇さんの『下村式・国語教室3 わかってる先生の読みとり講義』(論創社〈1999/06〉2000円+税)という本がお薦めなのですが、2020年1月時点では絶版もしくは重版未定で古書しか入手できません。
本シリーズでは、私が2009年に教材化したものをベースに、下村さんの著書のアウトラインを紹介していきたいと思います。
次回より、いざ!