教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

「学びの共同体」と「授業のユニバーサルデザイン化」で授業改革を⑤

「授業のユニバーサルデザイン化」①

 

「すべての子がわかる・できる授業」に向けた私の授業改革において、「学びの共同体(協同的学び)」は授業形態からの改革アプローチでした。

それに対して「授業のユニバーサルデザイン化」は授業内容・授業方法からの改革アプローチです。

授業形態からの改革アプローチと授業内容・授業方法からの改革アプローチが、まさに車の両輪として同時に進行することが必須です。

 

 

「授業のユニバーサルデザイン化」とは

 

「授業のユニバーサルデザイン化」についてはずっと以前(2020.3.9)、「ユニバーサルデザイン化で授業力を磨く」という稿で紹介しました。その中心部分を再掲します。

 

■授業のユニバーサルデザインという考え方■

 

「授業のユニバーサルデザイン」というのは、特別支援教育の考え方を生かして、全員が楽しく「わかる・できる」授業づくりをすすめようというものです。筑波大学附属小学校の桂聖さんを中心に授業のユニバーサルデザイン研究会(UD研)が組織されています。桂さんが国語科教師だということもあって、国語科における実践が先行しています。ここでは、桂さんの授業を参観したり、講演を聞いたり、著書を読んだりして知り得た内容を、私流に咀嚼して紹介します。


国語授業のユニバーサルデザイン(以下、UDと略記)は、「学力の優劣や発達障害の有無にかかわらず、全員の子どもが、楽しく『わかる・できる』ように工夫・配慮された通常学級における国語授業のデザイン」と定義されています。

ここで、「工夫」と「配慮」という言葉が、2つの研究的アプローチを示しています。つまり、授業づくりの「工夫」という国語教育からのアプローチと、個別の「配慮」という特別支援教育からのアプローチです。授業づくりの工夫をした上で個別の配慮をするという順序で授業をデザインしていくことになります。

 

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■授業をデザインする目標と3つの要件■


「論理」を授業の目標にします。

具体的に言うと、「論理的な話し方・聞き方」「論理的な書き方」「論理的な読み方」を教えると言うことです。


論理を授業の目標にした上で、「焦点化」「視覚化」「共有化」という3つの要件で授業をデザインすていきます。

「授業を焦点化(シンプルに)する」とは、ねらいや活動を絞ることです。

「授業を視覚化(ビジュアルに)する」とは、視覚的な理解を重視した授業にすることです。

「授業で共有化(シェア)する」とは、話し合い活動を組織することです。

 

 

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具体的な授業の進め方については、

国語科「ありの行列」で授業のUD化を考える(2020.3.10)

算数科「わり算の筆算」で授業のUD化を考える(2020.3.11)

をご覧ください。