「きょうはいいお天気です。なので、外で元気よく遊びましょう。」
「えっ。なのでは接続詞じゃないでしょ。」
17年ほど前のことです。20代の若い教師が全校生に向かって話しかける言葉に、強い違和感を覚えました。以来、この変な日本語がずっと心に引っかかっていました。
つい先日のことです。NHKの女性リポーターが「……。なので、……」と話すのを耳にしました。正しい日本語を守り伝える使命を担っているはずのNHKで使われるに及んで(アナウンサーでなかったのがせめてもの救いですが)、やはり正しい日本語を守り伝える役割を担っているはずの教育の場における乱れを指摘しておきたいと思います。
「なので」は、文法的には「な」+「ので」の連語です。
「な」は断定の助動詞「だ」の連体形で、「ので」は原因・理由などを表す接続助詞です。
つまり、「なので」は接続詞ではありません。そもそも助動詞の「だ」は体言や一部の助詞に付く語ですから、文頭に用いることはあり得ません。
文頭の「なので」は明らかな誤用、間違いです。
この文脈で用いる接続詞としては、「したがって」「そのため」「それゆえ」などがあります。
さらに、文中に用いる際の「なので」にも問題があります。
「~なので」の「なので」は、文法的には「な」+「ので」の連語です。
「な」は助動詞「だ」の連体形です。
「だ」は常体の言葉です。その敬体語は「です」です。
ここからは敬語の問題になります。
教師が子どもに話すときは、「~なので」でいいと思います。
親しい同僚と話すときも「~なので」でいいでしょう。
しかし、少なくとも上司や保護者と話すときは「~ですので」と丁寧語を使うべきではないでしょうか。
同様に、提出文書や通信においても丁寧語の「~ですので」が基本だと思います。
もとより、言葉は生き物です。時代とともに日本語が変化していくことは自然なことです。しかし、日本語の文法を教える教育現場が変化の先鋒になることは避けるべきだと考えます。