4年「思いやりのデザイン」(光村図書)
「思いやりのデザイン」は、「筆者の考えをとらえて、自分の考えを発表しよう」という単元を構成する2つの教材の1つで、「練習教材」の位置づけです。
学習指導要領で本単元の位置を確認します。
〔知識及び技能〕
⑴カ 主語と述語との関係、修飾と被修飾との関係、指示する語句と接続する語句の役割、段落の役割について理解すること。
(2)ア 考えとそれを支える理由や 事例との関係について理解することができる。
〔思考力,判断力,表現力等〕
C⑴ア 段落相互の関係に着目しながら、考えとそれを支える理由や事例との関係などについて、叙述を基に捉えること。
光村図書のHPにある資料より、単元の指導例を引用します。
「筆者の考えをとらえる」というのが目標になります。
その目標にせまる手段・方法が、「考えとそれを支える理由や 事例との関係について理解」し、「段落相互の関係に着目しながら、考えとそれを支える理由や事例との関係などについて、叙述を基に捉える」ことです。
「考えと例」「対比」がここでの重点指導内容です。
練習教材「思いやりのデザイン」では、「筆者の考えのとらえ方」を学ぶことになります。
「思いやりのデザイン」の読みに与えられた時間は、第2時の1時間です。
2「思いやりのデザイン」を読み,筆者の考えを捉えて自分の考えをもつ。
・文章構成と話題を確かめる。
・筆者の考えとその示し方を確かめ,例を対比することでどんなことが分かるかを考える。
・筆者の考えに対する自分の考えをまとめる。
学習活動例の「・」の1つ目と2つ目が読解です。
・文章構成と話題を確かめる。
教材文には、①②段落に「初め」、③④段落に「中」、⑤段落に「終わり」という三段構成の色帯が付されています。
文章構成図を活用しましょう。
脚注に「●文章の初めには、話題がしめされます。この文章の話題は何でしょう」とあります。
「話題のとらえ方」については下のリンク記事をご覧ください。
この文章の話題は、「初め」にも「終わり」にも繰り返し出てくる言葉「インフォグラフィックス」です。
「思いやりのデザイン」には「問い」はありません。「話題提示」です。
「わたしには、インフォグラフィックスを作るときに大切にしていることがあります。それは、相手の立場から考えるということです。」と述べ、「街の案内図を例に考えてみましょう。」と誘(いざな)います。
次の脚注には「②の段落と同じようなことを書いている段落が、他にもあります。さがしましょう。」とあります。
「終わり」の⑤段落に注目します。
このように、インフォグラフィックスを作るときには、相手の目的に合わせて、どう見えると分かりやすいのかを考えながらデザインすることが大切です。つまり、インフォグラフィックスは、見る人の立場に立って作る、思いやりのデザインなのです。
「初め」で「話題提示」したことを「中」で例示し、「終わり」でまとめています。
「このように」という定石のフレーズで始まっています。
「つまり」は、「まとめ」の段落の「まとめ」の文の書き出しに使われます。
「インフォグラフィックスは、見る人の立場に立って作る、思いやりのデザインなのです。」というのが、筆者の主張(考え)です。この段階では、文をそのまま採用します。「要点」の学習を経れば、太字部分「インフォグラフィックスは、思いやりのデザインなのです。」とまとめてもいいです。この文は、高学年で学習する「要旨」になります。
・筆者の考えとその示し方を確かめ,例を対比することでどんなことが分かるかを考える。
「中」の読みです。
脚注に「筆者は、自分の考えを説明するために、二つの例を対比してしめしています。くらべて分かるのは、どんなことでしょうか。」
「対比 二つのものをくらべて、ちがいをはっきりさせること」とあります。
③段落 A…どこにどんな建物があるかを、だれが見ても分かるように表している
④段落 B…目的地までの道順と目印になる建物だけを表している
「対比」を「見える化」すると次のようになります。
教材文では対比の対象となる「人」の表現が統一されていません。
③「この街に来た多くの人」=④「街全体の様子を知りたい人」
③「目的地が決まっている人」=④「まよわず安心して目的地に…人」
ここは工夫をしないと、「対比のしかた」という論理を教える授業になりません。