教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

人権教育2022①

2002年4月から20年。

 

2002年4月というのは、人権教育の大きな節目であり、新しい船出のときでもありました。

少し詳しくお話ししましょう。

 

日本の人権教育は、同和教育が構築しリードしてきました。

心ある教員によって推し進められてきた同和教育が、法によって支えられるようになったのは1969年のことです。

それより先、1965年に同和対策審議会が国に提出した答申には「いわれなき差別を受け、多くの人は安定した収入を得ることができなかった。この差別を残してしまったのは国の責任でもあり、国民的課題であるから、国は生活環境、学習環境、衛生環境などを整えるための施策を行わなければならない」と示されていました。(「同対審答申」と呼ばれています)

この答申を受けて1969年に同和対策事業特別措置法が制定され、同和教育推進のための人的・財政的措置が行われていきます。

以後、詳細は省きますが、同和教育推進のための何らかの財政措置は2001年度まで継続します。

つまり、2002年3月末をもって一切の財政措置は終了しました。

 

2002年4月は、法に基づく財政措置を伴わない(言葉を換えると、一般教育の中で行われる)人権教育がスタートしたときであったのです。

 

2002年を迎えるにあたり、私は「人権教育のカリキュラムを創る」という文章を書きました。

人権教育のカリキュラムを創る

第1章 人権教育のカリキュラムづくりにあたって
1.人権教育の概念
 (1)人権教育とは
 (2)同和教育を人権教育として再構築する

           以上①で紹介人権教育のカリキュラムを創る①

 2.人権教育の構想
 (1)同和教育が拓いた地平と残した課題
 (2)人権教育の「本体」と「土台」
 (3)普遍的アプローチと個別的アプローチ
 (4)人権教育のカリキュラム構想

           以上②で紹介人権教育のカリキュラムを創る②

第2章 「人権の基礎」について考える~「セルフエスティーム」に着目して~
1.「人権の基礎」を構成する4つの力
 (1)「人権の基礎」を構成する4つの力
 (2)「人権の基礎」を構成する4つの力の関係

           以上③で紹介人権教育のカリキュラムを創る③

2.「セルフエスティーム」について考える
 (1)「風船型」と「いがぐり型」のセルフエスティーム
 (2)「風船型」と「いがぐり型」の関係

           以上④で紹介人権教育のカリキュラムを創る④

第3章 「普遍的な視点からのアプローチ」による人権教育について考える
1.「普遍的な視点」=「人権一般」ではない
2.「普遍的な視点」について考える
 (1)普遍的な視点
 (2)ステレオタイプ、偏見、差別

           以上⑤で紹介人権教育のカリキュラムを創る⑤

3.「普遍的な視点」と「個別的な視点」の関係
 (1)部落問題学習でねらってきたこと
 (2)「ねらい」の普遍化
 (3)「ねらい」の個別化

           以上⑥で紹介人権教育のカリキュラムを創る⑥

第4章 「人権を基盤に据えた総合学習」について
1.総合学習でめざすもの
2.人権を基盤に据えた総合学習とは
3.人権総合学習への期待と限界
 (1)人権総合学習への期待(評価革命から学校革命へ)
 (2)人権総合学習の限界(過度の期待への戒めとして)

           以上⑦で紹介人権教育のカリキュラムを創る⑦

 

それから20年。

 

私はすでに「過去の人」になっていますが、この節目に思うことをいくつか記しておきたいと思います。