教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧

日本語探訪(その1) 口上

子どもたちの豊かな言語生活は、教師の言語生活の豊かさに依拠します。 シリーズ「日本語探訪」は、故事成語・ことわざ・慣用句・四字熟語の周辺をそぞろ歩きします。 言葉を深く知り、自在に操れるようになれば、日本語の表現が豊かになります。そんな教師…

「個別最適化された学び」を考える④

最後はそもそも論です。 「個別最適化された学び」を提案する「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」は、「これから到来する Society 5.0 時代を見据え」という文言で始まります。 文部科学省は、「これから到来する Society 5.0 時代…

「個別最適化された学び」を考える③

「個別に最適で効果的な学びや支援」には、 ○個々の子供の状況を客観的・継続的に把握(センシング技術) ○知識・技能の定着を助ける個別最適化(AI)ドリル ○意見・回答の即時共有を通じた効果的な協働学習 という3つの柱があります。 3つのうち、 ○個…

「個別最適化された学び」を考える②

「誰一人取り残すことのない、公正に個別最適化された学び」の実現には、「ICT 環境を基盤とした先端技術や教育ビッグデータの効果的な活用」に大きな可能性があると、「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」といいます。 そして、「IC…

「個別最適化された学び」を考える①

GIGAスクール構想について語られる文脈で、「個別最適化された学び」という言葉をよく耳にします。 今回は、「個別最適化された学び」について考えます。 「個別最適化された学び」という表現が公になったのは、2019年6月25日のことです。 この日、文部科学…

デジタル教科書時代・2035年の物語④

デジタル教科書時代の学力 2035年の教室。 デジタル教科書は、教室風景と授業風景を一変させていました。 教室に一歩足を踏み入れると… 黒板がありません。白墨の筆記音もありません。 かつて黒板が設置されていた教室前面は、巨大な「モニター」に変わって…

髪黒染め校則は「合理的」?

2月16日、髪の染色などを禁じた校則の合法性を問う訴訟の判決がありました。 まずは、「日本経済新聞」の記事で概要を見ていきます。 「髪黒染め」校則は適法、府に一部賠償命令 大阪地裁 日本経済新聞 2021年2月16日 13:27 (2021年2月16日 18:23更新) 茶色…

デジタル教科書時代・2035年の物語③

デジタル教科書時代の算数力 2035年、学校帰りに出会った子どもの家。 彼の宿題を見ていて、あれっと思ったのが算数。 教科書がデジタルなら、「ドリル」もデジタルコンテンツです。そりゃまあ当然です。 問題は、デジタルコンテンツのなかみです。 昔は、算…

デジタル教科書時代・2035年の物語②

デジタル教科書時代の漢字練習 2035年、デジタル教科書が定着した教育現場。 それは「空想」であることに相違ありません。 手塚治虫はアトムの時代を、藤子F不二雄はドラえもんの時代をその目で見ることはありませんでした。 私は、80歳でその未来を目にす…

デジタル教科書時代・2035年の物語①

デジタル教科書時代「元年」・2021年 2021年4月、日本は「デジタル教科書」元年を迎えます。 デジタル教科書はすでに存在するのですが、学校現場ではほとんど使われていません。 理由は2つ。紙の教科書が主であり、それが無償で全員に配布されています。デ…

出口式「タテ・ヨコ・算数」思考法 ~情報過多社会の航海術~

いま読みかけの本が4冊あって、その1つが『自分の頭で考える日本の論点』です。 『自分の頭で考える日本の論点』 (出口治明著、幻冬舎新書、2020.11.25、1210円) 内容(「BOOK」データベースより)玉石混淆の情報があふれ、専門家の間でも意見が分かれる…

音楽で人権教育を考える④

3003年に行った講演では、「部落問題」「在日朝鮮人問題」とともに「平和問題」を取り上げました。 具体的には「沖縄」の問題に焦点を当て、「島唄」を紹介しました。(「さとうきび畑」も用意していましたが、時間の都合で聴いていただくことはできませんで…

音楽で人権教育を考える③

今回は、在日朝鮮人問題がテーマです。 最初にテーマの「表記」について触れておきます。 ここでは「在日朝鮮人」という表現を、日本に在留する朝鮮半島にルーツを持つ人々の総称として用いています。 「在日韓国・朝鮮人」として場合は、韓国(大韓民国)籍…

音楽で人権教育を考える②

部落(同和)問題は「重大な社会問題」であり、その解決は「国の責務」であるとともに「国民的課題」であるとした「同和対策審議会答申(同対審答申)」が出されたのは、1965年のことです。 この答申を受けて、1969年に「同和対策特事業別措置法(特措法)」…

音楽で人権教育を考える①

SMAPの「世界に一つだけの花」が流行ったのは2002年のことでした。 翌2003年8月、某所にて人権教育の講演を行ったのですが、その折に「世界に一つだけの花」を聴いてもらいました。 音楽を通して「人権教育とは何か」を考える企画です。 つぎに示しているの…

人権教育教材としての『おくりびと』と『納棺夫日記』

『おくりびと』は、2008年に公開された映画です。 滝田洋二郎監督の作品で、第32回日本アカデミー賞最優秀作品賞などを受賞しています。 Wikipediaから作品の「あらすじ」を引きます。 プロのチェロ奏者として東京の管弦楽団に職を得た小林大悟。しかし、あ…

Repost: 教師入門⑧ ~歩き始めた先生たちへ5~

2021年1月23日、ブログ「教育逍遙」は開設から満1年を迎えました。 この間、週5回の投稿を基本に265本の記事を公開してきました。 今は幾人もの方に読んでいただいていますが、開設当初はほとんど認知されることはありませんでした。その一方で、開設に至…

節分の鬼はどこにいる

節分と言えば、豆まき。 豆まきと言えば、「鬼は外 福は内」 。 とまあ、相場が決まっているのですが…。 「鬼」ってなんでしょう? 「鬼」はどこにいるのでしょう? 「鬼は外 福は内」というフレーズには、「鬼」=「悪」という前提があります。 広い世間の…

Repost: 教師入門⑦ ~歩き始めた先生たちへ4~

2021年1月23日、ブログ「教育逍遙」は開設から満1年を迎えました。 この間、週5回の投稿を基本に265本の記事を公開してきました。 今は幾人もの方に読んでいただいていますが、開設当初はほとんど認知されることはありませんでした。その一方で、開設に至…

Repost: 教師入門⑥ ~歩き始めた先生たちへ3~

2021年1月23日、ブログ「教育逍遙」は開設から満1年を迎えました。 この間、週5回の投稿を基本に265本の記事を公開してきました。 今は幾人もの方に読んでいただいていますが、開設当初はほとんど認知されることはありませんでした。その一方で、開設に至…