教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧

日本語探訪(その66) ことわざ「塵も積もれば山となる」

小学校3・4年生の教科書に登場することわざの第18回は「塵も積もれば山となる」です。教科書の表記は、「ちりも積もれば山となる」となっています。 塵も積もれば山となる 「塵も積もれば山となる」の読み方 ちりもつもればやまとなる 「塵も積もれば山と…

日本語探訪(その65) ことわざ「大山鳴動して鼠一匹」

小学校3・4年生の教科書に登場することわざの第17回は「大山鳴動して鼠一匹」です。教科書の表記は、「大山鳴動してねずみ一ぴき」となっています。 大山鳴動して鼠一匹 「大山鳴動して鼠一匹」の読み方 たいざんめいどうしてねずみいっぴき 「大山鳴動し…

日本語探訪(その64) 故事成語「一意専心」

小学校のうちに知っておきたい故事成語の第18回は「一意専心」です。 一意専心 「一意専心」の読み方 いちいせんしん 「一意専心」の意味 他に心を向けず、その事のみに心を用いること。(広辞苑) 「一意専心」の使い方 私には、身についた封建的躾(しつけ…

日本語探訪(その63) 故事成語「以心伝心」

小学校のうちに知っておきたい故事成語の第17回は「以心伝心」です。 以心伝心 「以心伝心」の読み方 いしんでんしん 「以心伝心」の意味 思うことが言葉によらず、互いの心から心に伝わること。(広辞苑) 「以心伝心」の使い方 吾輩は此瞬時の光景を椽側か…

「特別なニーズ」のもつ「普遍性」

バス通学をしているAさんは、スクールバスの中に荷物を置き忘れることが多いと聞きました。 とくに金曜日の下校時と、月曜日の登校時には、決まってと言っていいほど置き忘れるようです。 金曜日の下校時と、月曜日の登校時に多いというのには、わけがあり…

日本語探訪(その62) 慣用句「猫の手も借りたい」「猫の額」

小学校3・4年生の教科書に登場する慣用句の第24回は「猫の手も借りたい」と「猫の額」です。教科書の表記は、「ねこの手もかりたい」「ねこのひたい」となっています。 ある教科書は、「猫」のつく慣用句を集める課題を出しています。付録として「猫」のつ…

日本語探訪(その61) 慣用句「涙を呑む」

小学校3・4年生の教科書に登場する慣用句の第23回は「涙を呑む」です。教科書の表記は、「なみだをのむ」となっています。 涙を呑む 「涙を呑む」の読み方 なみだをのむ 「涙を呑む」の意味 ①泣きたいのを泣かずにこらえる。②泣きたくなるような経験をする…

日本語探訪(その60) 慣用句「手に取るよう」

小学校3・4年生の教科書に登場する慣用句の第22回は「手に取るよう」です。 手に取るよう 「手に取るよう」の読み方 てにとるよう 「手に取るよう」の意味 ①すぐにも実現しそうなさま。うまくいきそうなさま。 ②きわめて近く見えるさま、また、聞こえるさ…

日本語探訪(その59) ことわざ「善は急げ」

小学校3・4年生の教科書に登場することわざの第16回は「善は急げ」です。 善は急げ 「善は急げ」の読み方 ぜんはいそげ 「善は急げ」の意味 よいことをするのにためらうな、の意(広辞苑) 「善は急げ」の使い方 叔父はもし私が主張するなら、私の卒業まで…

非論理がまかり通る時代にこそ「論理力」を

通常国会が閉会しました。 それにしても、現首相の国会答弁にも、前首相の国会答弁にも、消化不良のモヤモヤとイライラが尽きません。悲しいほどに……。 先日(2021年6月2日)の朝日新聞に、論理学者・高橋昌一郞さんのインタビュー記事が載っていました。 …

日本語探訪(その58) ことわざ「船頭多くして船山に上る」

小学校3・4年生の教科書に登場することわざの第15回は「船頭多くして船山に上る」です。 船頭多くして船山に上る 「船頭多くして船山に上る」の読み方 せんどうおおくしてふねやまにのぼる 「船頭多くして船山に上る」の意味 指図する人ばかり多いため統一…

あらためてICT教育を問う

私はデジタル教科書推進派でも何でもありませんが、世界がそういう方向に向かっていることは紛れもない事実です。 「日本のICT教育は、先進国の中では周回遅れ」と言われています。 それを何とかしようと発足した「デジタル教科書の今後の在り方等に関する検…

どうなるデジタル教科書時代

2021年6月8日、「デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議(第一次報告)」が公表されました。 デジタル教科書をめぐる動向は、先に「デジタル教科書時代・2035年の物語①」(2021.2.15)で触れました。 2020年の暮れから21年はじめごろの萩生田光…

日本語探訪(その57) 故事成語「暗中模索」

小学校のうちに知っておきたい故事成語の第16回は「暗中模索」です。 暗中模索 「暗中模索」の読み方 あんちゅうもさく 「暗中模索」の意味 くらやみの中で手さぐりで捜すこと。転じて、手がかりのない物事をさがしもとめること。(広辞苑) 「暗中模索」の…

日本語探訪(その56) 故事成語「雨垂れ石を穿つ」

小学校のうちに知っておきたい故事成語の第15回は「雨垂れ石を穿つ」です。 雨垂れ石を穿つ 「雨垂れ石を穿つ」の読み方 あまだれいしをうがつ 「雨垂れ石を穿つ」の意味 同じ所に落ちる雨垂れが長い時間をかけて石に穴をあけるように、微力でも根気よく続け…

日本語探訪(その55) 特別企画「右と左の物語」⑤再び「右上位」の世界

再び「右上位」の世界 日本社会において、漢字が伝えられたころから飛鳥時代以前は、「右上位」でした。 それは、漢字とともにもたらされた中国の「右尊左卑」思想の影響でした。 いまもよく使われる「左遷」「座右の銘」「右に出る者はいない」などは、その…

日本語探訪(その54) 特別企画「右と左の物語」④「右翼」と「左翼」の世界

「右翼」と「左翼」の世界 野球では、ホームベースの位置から外野方向を見た時(キャッチャーの目線です)、1塁側の外野を「右翼(ライト)」、3塁側の外野を「左翼(レフト)」と言います。 この場合の「右翼」は、「right fielder」の訳語です。「翼」に…

日本語探訪(その53) 特別企画「右と左の物語」③「左上位」の世界

「左上位」の世界 中国では、随(581年~)・唐(618年~)の時代になると、「右」と「左」の世界観が漢の時代とは真逆になります。 陰陽五行説の流行などによって、右優位から左優位に変わってしまったのです。 「天帝は北辰(ほくしん)に座して南面す」と…

日本語探訪(その52) 特別企画「右と左の物語」②「右上位」の世界

「右上位」の世界 前回の終わりに、漢字が成立していく漢の時代は、「右尊左卑」(左は右に対して、下であり卑しい、劣るという考え)の社会であったと書きました。 「右尊左卑」(以下、「右上位」とします)の観念は、漢字そのものにも影響しましたし、漢…

日本語探訪(その51) 特別企画「右と左の物語」①「右」と「左」の成り立ち

「日本語探訪」が50回を迎えました。 子どもたちの豊かな言語生活は、教師の言語生活の豊かさに依拠します。 シリーズ「日本語探訪」は、故事成語・ことわざ・慣用句・四字熟語の周辺をそぞろ歩きします。 言葉を深く知り、自在に操れるようになれば、日本語…

日本語探訪(その50) 慣用句「鶴の一声」

小学校3・4年生の教科書に登場する慣用句の第21回は「鶴の一声」です。教科書の表記は、「つるのひと声」となっています。 鶴の一声 「鶴の一声」の読み方 つるのひとこえ 「鶴の一声」の意味 権威者・有力者などの、衆人を威圧し、否応なく従わせる一言。…

日本語探訪(その49) 慣用句「竹を割ったよう」

小学校3・4年生の教科書に登場する慣用句の第20回は「竹を割ったよう」です。教科書の表記は、「竹をわったよう」となっています。 竹を割ったよう 「竹を割ったよう」の読み方 たけをわったよう 「竹を割ったよう」の意味 さっぱりとした性質のたとえ。邪…