教育雑記帳
「障害者権利条約」について国連が勧告 「障害者権利条約」について、国連の委員会が日本の取り組み状況を初めて審査し、勧告を公表しました。(2022年9月9日) 強制入院や分離教育など禁止勧告 国連が日本の障害者差別巡り初審査 障害に基づくあらゆる差…
去る8月25日、中央教育審議会「第5回教科書・教材・ソフトウェアの在り方ワーキンググループ」が開かれました。会議では「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた教科書・教材・ソフトウェアの在り方について(案)~ 中間報告(論点整理案)…
続・「効果のある学校」 欧米の「効果のある学校」の研究成果を、日本の学力向上の取り組みにどう取り入れていったのでしょうか。 今回の引用部分も、『部落解放研究 No.195』(2012.7)所収、志水宏吉さんの「子どもたちの学力水準を下支えしている学校の…
私は、公教育の使命はとりわけしんどい立場にある子どもを適切に支えることだと信じて教育活動をしてきました。 しかし、現実にはしんどい立場にある子どもが学力低位に置かれる実態が存在しました。その顕著なものが、被差別部落の子どもたちの低学力傾向で…
志水宏吉さんは、『ペアレントクラシー』のなかで、「新自由主義的教育政策とは、市場原理(より具体的にいうなら、選択の自由、あるいは競争原理や成果主義)を教育の場に持ち込もうという明確な意図を備えた一連の政策」のことを指すと述ています。 そして…
新自由主義政策は「市場での自由競争により、富が増大し、社会全体に行き渡」らせるはずでした。 しかし実際は、「再配分よりも富の集中や蓄積・世襲化が進み、貧富の差を広げる」のではという懸念が現実化し、「格差社会」が進行しています。 こうした社会…
今日、公教育の現場で起こっている問題の相当部分が、「新自由主義」と言われる教育政策によるもののようです。 志水宏吉さん(大阪大学教授)の近著『ペアレントクラシー』を読んで、長年のモヤモヤがずいぶんすっきりしました。 志水さんは最も信頼できる…
文部科学省から「公立の小学校等の校長及び教員としての資質の向上に関する指標の策定に関する指針改正案」及び「研修履歴を活用した対話に基づく受講奨励に関するガイドライン案」が公表され、7月29日までパブリックコメントを募集しています。 これは、今…
「こども基本法」を考える⑦ 「意見表明権」と「子どもコミッショナー」 「子どもの権利条約」の主旨は、「子どもを権利をもつ主体と位置づけ、おとなと同様ひとりの人間としての人権を認める」ことです。 条約が定める子どもの権利のなかで、もっとも象徴的…
「こども基本法」を考える⑥ 「子どもの権利条約」から「こども基本法」への28年 「子どもの権利条約」は、1989年の第44回国連総会において採択され、1990年に発効しました。 日本では、1994年に子どもの権利条約に批准しました。158番目の批准国です。 こ…
「こども基本法」を考える⑤ 子どものための「子どもの権利条約」 「子どもの権利条約」は、子どもの権利を守ることを目的としています。ところが条約文は難しく、子どもには理解できません。 条約が批准されたころには子ども向けの本も出版されました。さい…
「こども基本法」を考える④ 「子どもの権利条約」とは このたび成立した「こども基本法」は、日本が1994年に批准した「子どもの権利条約」に対応するための国内法という位置づけになっています。 「子どもの権利条約」というのはどういうものだったのでしょ…
「こども基本法」を考える③ 「子どもコミッショナー」をめぐって 「こども家庭庁」「こども基本法」をめぐる国会審議において、もっとも強く反対の立場を取ったのは日本共産党でした。 塩川鉄也議員が衆院本会議で行った反対討論(5月17日)の要旨です。 貧…
「こども基本法」を考える② 「こども基本法」とは… 「こども基本法」成立の前日、NHKがこの問題を取り上げ法の理念と課題について詳しく伝えています。引用して紹介します。 「こども基本法」って何?【詳しく】子どもの権利どう守る? こども基本法の理念…
「こども基本法」を考える① 「こども基本法」成立 2022年6月15日、参院本会議でこども家庭庁設置法が賛成多数で可決成立しました。それと同時に、こども基本法も成立しました。 今回は、成立の日の記録として、当日配信された「朝日新聞デジタル」の記事を…
中途半端な改革から本質的な改革へ 前々回の記事の最終部分を再掲します。 しかし「ICT(情報通信技術)教育が学力向上につながるというエビデンス(科学的根拠)はほとんどない」(佐藤学氏)。 というのです。 佐藤氏は、その論拠としてPISA2015報告書の「…
教育の本質と教師の本分 4月の異動で、ひとりの後輩が教室を離れました。 それは「唐突」な報せでした。 私は教師の「職人」性に惹かれてヒラであることを通しました。自分の生き方を人に押しつけるつもりは毛頭ありません。ただ、その後輩は私と同じような…
「針の穴から天井覗く」ということわざがあります。 私が見聞きする学校や授業は、地図帳の日本列島にチョンと突いた針穴のような世界。まさに「針の穴から日本教育を覗く」です。 しかし、「針穴」の風景が日本全体の風景の縮図であることもしばしばあるも…
2022年4月1日、「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」が施行されます。 朝日新聞デジタルが伝えた記事です。 いじめと感じて「嫌な気持ちに」1万2千人が回答 奈良県教委の調査 朝日新聞デジタル 3/24(木) 14:27配信 奈良県教育委員会…
年度末です。 人事異動があり、新規採用者の配置があり、そして新しい年度が始まります。 さて、新年度を迎える職員室はワクワク感に満ち満ちているでしょうか。先生たち一人ひとりの瞳は生き生きと輝いているでしょうか。 かつて私の職場でもあった職員室は…
菅義偉内閣で設立が構想されていた「こども庁」が、岸田文雄内閣のもとで「こども家庭庁」という名称で2023年4月に設置されます。 「こども庁」から「こども家庭庁」へ。 この小さな変更に含まれる大きな意味を考えたいと思います。 朝日新聞「耕論」(2022…
もう38年も前のことになりますが、受験シーズンになると思い出す子どもたちがいます。 私が勤務していた小学校は、ある意味で特徴的でした。 それは、クラスの大半の子が中学受験を目指す東京都心のような状況でもなく、受験する子など滅多にいない最後の勤…
ある季刊誌が「小学生のうちに身につけたい力」という特集を組みました。 そこで取り上げられたのは、次の4つの「力」です。 やり抜く力 伝える力 思考力 自己肯定力 いずれも大事な力だと思います。 「小学生のうちに身につけたい力」がこの4つだけかどう…
「教育未来創造会議」設置決定 政府は12月3日、第2次安倍政権下で発足した教育再生実行会議の後継となる「教育未来創造会議」の設置を閣議決定しました。 教育未来創造会議の開催について 令 和 3 年 1 2 月 3 日 閣 議 決 定1.我が国の未来を担う人材…
新聞のあるビジネス記事を読んでいて、「『社長に10秒で報告せよ』という課題が与えられた」とのくだりが目にとまりました。 「10秒で報告せよ!」 「きみの業績を10秒で報告せよ!」 「きみの研究について10秒で報告せよ!」 「わが社の再建プランを10秒で…
10月27日、朝日新聞の社会面に「白土三平さん死去」の見出しを見つけました。 白土三平さん死去 漫画家 「カムイ伝」「忍者武芸帳」 「忍者武芸帳」「カムイ伝」など重厚な歴史長編で知られる漫画家の白土三平(しらと・さんぺい、本名岡本登〈おかもと・の…
昨年(2020年)、萩生田光一文部科学大臣が主導するかたちで「教員免許更新制」廃止に動き出したとき、アレッと思いました。 萩生田氏は安倍氏と思想信条が近く、安倍氏の側近と言われている人です。 その萩生田氏が、安倍氏肝いりの免許更新制を廃止する方…
中曽根康弘氏の「お座敷をきれいにして、そしてりっぱな憲法を安置する」という路線を最も忠実に受け継いだのは、安倍晋三氏です。 「お座敷をきれいに」するというのは、「りっぱな憲法」制定を阻害する勢力を排除するということです。 教員世界に引き寄せ…
「不適格教員」という言葉が公に使われるようになるのは、管見によれば臨時教育審議会(臨教審)が最初です。 臨教審は、1984年に公布された臨時教育審議会設置法に基づき総理府に設置され、内閣総理大臣の諮問に応じて調査審議することを所掌事務とした行政…
10月13日、文部科学省が2020年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果を公表しました。 14日の新聞には、「不登校最多」の文字が躍りました。 不登校増加について文科省は一斉休校や分散登校などにより「生活リズムが乱れ…